・二十四節気それぞれの日付はいつ?
・七十二侯との関係は?
このような疑問を解消します。
『二十四節気(にじゅうよんせっき)』という言葉、聞いたことありませんか?
ピンとこないかもしれませんが、「春分」「夏至」「秋分」「冬至」なら知ってる方は多いと思います。実はこれも二十四節気を由来としてる言葉。
それら4つの節気を加え、春夏秋冬をさらに細かく24に分割したのが二十四節気なのです。
この記事では、二十四節気の意味と一覧、加えて密接な繋がりのある七十二侯について簡単に解説します。
このページの目次
二十四節気とは
POINT
二十四節気とは、1年の季節の変化を24分割し、分割点となるそれぞれの日に季節を表す言葉を付けたもの。
現代では普段から意識することは少なくなりましたが、ニュース番組などで「立春」や「春分」といった二十四節気を由来とする言葉を聞くことはあります。
また、昔の人にとっては、農作業や漁業の目安として重宝されており、生活と密接に繋がっていたのです。
名称の通り24の節気から成り立っており、約15日ごとに移ろいますが、毎年同じ日付とは限りません。
1日ほど変わるので、歳時記カレンダーなどで確認してください。
旧暦で生じた季節と日付のズレ
昔は今のような太陽の動きを基準にした太陽暦ではなく、旧暦である太陰暦(月の満ち欠けで1ヶ月を定めた暦)、そして太陽太陰暦(太陰暦に太陽の巡りを合わせた暦)を用いていました。
太陰暦
太陰暦は、月の満ち欠けを基準に1ヶ月を定めた暦。
しかし、月が地球を一周するのは「29.53日」、12ヶ月では「354日」となり、地球が太陽を1周する365日より「約11日」短くなります。
これだと季節と日付にズレが生じ、誤差が広がれば正月に桜が見頃を迎えたり、真夏になってしまうこともあるのです。
太陰太陰暦
そのズレを修正するために生まれたのが太陰太陽暦。
太陰暦では3年で約30日のズレが生じるため、3年ごとに閏月(うるうづき)という1ヶ月を足して、誤差が大きくなり過ぎないように調整しました。
しかし、3年ごとの修正であるため、1年目の約11日、2年目の約22日におよぶ誤差はそのまま。特に農業や漁業にとって、このズレは非常に困る問題です。
この旧暦が抱える問題を解消するために登場したのが、古代中国で考案された「二十四節気」。
二十四節気は太陽の動きを基準に作られた暦
二十四節気は、太陽の巡りを基準に作られています。
黄道(太陽の周りを地球が1周する軌道)の360°を、ほぼ15°ごとに切り分けて24分割し、それぞれに季節を表す名前をつけたもの。
二十四節気の決め方は、「平気法」「定気法」の2パターン。
- 平気法(時間分割法)・・・冬至を起点として”約15日ごと”に24分割する方法
- 定気法(空間分割法)・・・黄道0°の春分を起点として”ほぼ15°ごと”に24分割する方法
地球の公転速度は季節によって変わるので、時間で分割する平気法では約1~2日のズレが生じます。そのため、現在一般的に使われているのは定気法です。
“ほぼ”15°としているのは、地球の公転軌道が楕円型なことも関わってきます。
また、太陽暦は1年を365日としていますが、閏年(うるうどし)があるように、地球が太陽を1周する時間はピッタリ365日というわけではありません。
二十四節気の日にちが毎年1日ほど変わるのはこのためです。
二十四節気の順番とそれぞれの意味
二十四節気一覧<春>
■立春(りっしゅん)
|季節:初春|月:正月節|日付:2月4日頃|黄経:315°|
暦のうえではこの日から春。春の気配が現れ始める頃
■雨水(うすい)
|季節:初春|月:正月中|日付:2月19日頃|黄経:330°|
雪が雨に変わり、降り積もった雪が溶けて水に変わる頃。
■啓蟄(けいちつ)
|季節:仲春|月:二月節|日付:3月6日頃|黄経:345°|
冬ごもりから目覚めた虫たちが土から顔を出す頃。
■春分(しゅんぶん)
|季節:仲春|月:二月中|日付:3月21日頃|黄経:0°|
春の中間となる日で、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃。
■清明(せいめい)
|季節:晩春|月:三月節|日付:4月5日頃|黄経:15°|
「清浄明潔」の略。万物が清らかで明るく、生き生きして見えるという意味。
■穀雨(こくう)
|季節:晩春|月:三月中|日付:4月20日頃|黄経:30°|
柔らかな春雨が農作物をうるおし、よく育つという意味。
二十四節気一覧<夏>
■立夏(りっか)
|季節:初夏|月:四月節|日付:5月5日頃|黄経:45°|
暦のうえではこの日から夏。夏の気配が現れ始める頃。
■小満(しょうまん)
|季節:初夏|月:四月中|日付:5月21日頃|黄経:60°|
陽気が天地に満ち、草木が生い茂るという意味。農家では田植えの準備が始まる頃。
■芒種(ぼうしゅ)
|季節:仲夏|月:五月節|日付:6月6日頃|黄経:75°|
「芒」はイネ科の先端にある毛のような突起のことで、稲などの穀物の種をまく頃。
■夏至(げし)
|季節:仲夏|月:五月中|日付:6月21日頃|黄経:90°|
夏の中間となる日で、昼の時間が最も長くなる頃。
■小暑(しょうしょ)
|季節:晩夏|月:六月節|日付:7月7日頃|黄経:105°|
梅雨が明け、だんだん暑さが増してくる夏本番少し前の頃。
■大暑(たいしょ)
|季節:晩夏|月:六月中|日付:7月23日頃|黄経:120°|
夏が本格的になり、暑さがもっとも高まる頃。土用の丑の日が近く、夏バテ対策にうなぎを食べる時期でもあります。
二十四節気一覧<秋>
■立秋(りっしゅう)
|季節:初秋|月:七月節|日付:8月7日頃|黄経:135°|
暦のうえではこの日から秋。秋の気配が現れ始める頃。
■処暑(しょしょ)
|季節:初秋|月:七月中|日付:8月23日頃|黄経:150°|
日中の暑さがやわらぎ始め、朝晩に涼しさを感じる頃。台風シーズンに突入。
■白露(はくろ)
|季節:仲秋|月:八月節|日付:9月8日頃|黄経:165°|
空気が冷えて草花に朝露が付き始め、本格的に秋が到来する頃。
■秋分(しゅうぶん)
|季節:仲秋|月:八月中|日付:9月23日頃|黄経:180°|
秋の中間となる日で、春分と同じく昼と夜の長さがほぼ同じになる頃。
■寒露(かんろ)
|季節:晩秋|月:九月節|日付:10月8日頃|黄経:195°|
草木に冷たい露がつき、紅葉の便りが届き秋が深まる頃。
■霜降(そうこう)
|季節:晩秋|月:九月中|日付:10月23日頃|黄経:210°|
朝晩の空気が冷え、霜が降りる頃。本格的な紅葉シーズン到来。
二十四節気一覧<冬>
■立冬(りっとう)
|季節:初冬|月:十月節|日付:11月7日頃|黄経:225°|
暦のうえではこの日から冬。冬の気配が現れ始める頃。
■小雪(しょうせつ)
|季節:初冬|月:十月中|日付:11月22日頃|黄経:240°|
雨が雪に変わり、わずかながら初雪が降り始める頃。
■大雪(たいせつ)
|季節:仲冬|月:十一月節|日付:12月7日頃|黄経:255°|
本格的な冬が到来し、平地でも雪が降り積もってくる頃。
■冬至(とうじ)
|季節:仲冬|月:十一月中|日付:12月22日頃|黄経:270°|
冬の中間となる日で、一年の中で最も昼の時間が短くなる頃。
■小寒(しょうかん)
|季節:晩冬|月:十二月節|日付:1月5日頃|黄経:285°|
「寒の入り」といい、寒さがいっそう厳しくなる頃。寒中見舞いを出す時期でもあります。
■大寒(たいかん)
|季節:晩冬|月:十二月中|日付:1月20日頃|黄経:300°|
冷え込みがもっともはげしくなり、寒さが極まる頃。二十四節気最後の節気で、大寒が過ぎると立春を迎えます。
季節をさらに細かく分割した「七十二侯」の一覧
二十四節気は半月ごとの季節の移ろいを表しています。
これをさらに約5日ごとに分割して、気象の動きや動植物の変化をより細かく示しているのが「七十二候(しちじゅうにこう)」。
POINT
二十四節気それぞれの節気を、初候・次候・末候の3つに分け、自然の姿を表す季節の言葉をそのまま付けて72候に分けたもの。
古代中国で考案され、6世紀頃に日本へ伝わってきました。
七十二候の名称は何度も変更されており、日本でも江戸時代に渋川春海が日本の気候風土に合わせて改訂(「本朝七十二候」)するなど、明治六年に新暦である太陽暦を採用するまで使われていたようです。
現在あるのは明治時代に改訂された「略本暦」。
七十二侯の一覧
候 | 日付(頃) | 名称 | 意味 | |
立春 | 初候 | 2月4日 | 東風解凍(こちこおりをとく) | 温かい春風が池や湖の氷を解かし始める |
次候 | 2月9日 | 黄鶯睍睆(うぐいすなく) | ウグイスが山里で鳴き始める | |
末候 | 2月14日 | 魚上氷(うおこおりをいずる) | 川や湖の氷が割れて魚が飛び出す | |
雨水 | 初候 | 2月19日 | 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる) | 雪が溶けて大地を潤す |
次候 | 2月24日 | 霞始靆(かすみはじめてたなびく) | 春霞がたなびき始める | |
末候 | 3月1日 | 草木萌動(そうもくめばえいずる) | 草木が芽吹き始める | |
啓蟄 | 初候 | 3月6日 | 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく) | 冬籠りしていた虫が出て来る |
次候 | 3月11日 | 桃始笑(ももはじめてさく) | 桃の花が咲き始める | |
末候 | 3月16日 | 菜虫化蝶(なむしちょうとなる) | 青虫が羽化して蝶になる | |
春分 | 初候 | 3月21日 | 雀始巣(すずめはじめてすくう) | 雀が巣を構え始める |
次候 | 3月26日 | 桜始開(さくらはじめてひらく) | 桜の花が咲き始める | |
末候 | 3月31日 | 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす) | 春の訪れを告げる雷が鳴り始める | |
清明 | 初候 | 4月5日 | 玄鳥至(つばめきたる) | 南から燕がやって来る |
次候 | 4月10日 | 鴻雁北(こうがんきたへかえる) | 雁が北へ渡って行く | |
末候 | 4月15日 | 虹始見(にじはじめてあらわる) | 雨上がりに虹が出始める | |
穀雨 | 初候 | 4月20日 | 葭始生(あしはじめてしょうず) | 水辺の葦が芽を吹き始める |
次候 | 4月25日 | 霜止出苗(しもやんでなえいづる) | 霜が止み稲の苗が生長する | |
末候 | 4月30日 | 牡丹華(ぼたんはなさく) | 牡丹の花が咲き始める | |
立夏 | 初候 | 5月5日 | 蛙始鳴(かわずはじめてなく) | 冬眠から起きた蛙が鳴き始める |
次候 | 5月10日 | 蚯蚓出(みみずいづる) | ミミズが地上に出てくる | |
末候 | 5月15日 | 竹笋生(たけのこしょうず) | 筍が生えて来る | |
小満 | 初候 | 5月21日 | 蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ) | 蚕が桑を食べ始める |
次候 | 5月26日 | 紅花栄(べにばなさかう) | 紅花が咲きほこる | |
末候 | 5月31日 | 麦秋至(むぎのときいたる) | 麦の穂が熟して麦秋となる | |
芒種 | 初候 | 6月6日 | 螳螂生(かまきりしょうず) | 螳螂が孵化する |
次候 | 6月11日 | 腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる) | 草の中から蛍が光を放ち始める | |
末候 | 6月16日 | 梅子黄(うめのみきばむ) | 梅の実が熟して黄色に色づく | |
夏至 | 初候 | 6月21日 | 乃東枯(なつかれくさかるる) | 夏枯草が枯れたように見える |
次候 | 6月27日 | 菖蒲華(あやめはなさく) | あやめの花が咲く | |
末候 | 7月2日 | 半夏生(はんげしょうず) | カラスビシャクが生える | |
小暑 | 初候 | 7月7日 | 温風至(あつかぜいたる) | 暖い風が吹いて来る |
次候 | 7月12日 | 蓮始開(はすはじめてひらく) | 蓮の花が咲き始める | |
末候 | 7月17日 | 鷹乃学習(たかすなわちわざをなす) | 鷹の子が飛ぶことを覚える | |
大暑 | 初候 | 7月23日 | 桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) | 桐の花が咲き始める |
次候 | 7月29日 | 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし) | 湿った土が日を浴びて蒸暑くなる | |
末候 | 8月3日 | 大雨時行(たいうときどきにふる) | ときどき大雨が降る | |
立秋 | 初候 | 8月7日 | 涼風至(すづかぜいたる) | 涼しい風が吹き始める |
次候 | 8月13日 | 寒蝉鳴(ひぐらしなく) | 蜩しぐれが響き始める | |
末候 | 8月18日 | 蒙霧升降(ふかききりまとう) | 深い霧が発生しやすくなる | |
処暑 | 初候 | 8月23日 | 綿柎開(わたのはなしべひらく) | 綿を包む萼(がく)が開き始める |
次候 | 8月28日 | 天地始粛(てんちはじめてさむし) | 天地の暑さが鎮まり始める | |
末候 | 9月2日 | 禾乃登(こくものすなわちみのる) | 稲が実り、穂を垂らす | |
白露 | 初候 | 9月8日 | 草露白(くさのつゆしろし) | 草に降りた露が白く光って見える |
次候 | 9月13日 | 鶺鴒鳴(せきれいなく) | 鶺鴒が鳴き始める | |
末候 | 9月18日 | 玄鳥去(つばめさる) | 子育てを終えた燕が南へ帰って行く | |
秋分 | 初候 | 9月23日 | 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ) | 雷が鳴らなくなる |
次候 | 9月28日 | 蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ) | 虫が土に潜って穴をふさぐ | |
末候 | 10月3日 | 水始涸(みずはじめてかる) | 田畑の水を抜いて土を乾かす | |
寒露 | 初候 | 10月8日 | 鴻雁来(こうがんきたる) | 雁が北から飛来し始める |
次候 | 10月13日 | 菊花開(きくのはなひらく) | 菊の花が咲く | |
末候 | 10月18日 | 蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり) | キリギリスが戸口で鳴く | |
霜降 | 初候 | 10月23日 | 霜始降(しもはじめてふる) | 霜が降り始める |
次候 | 10月28日 | 霎時施(こさめときどきふる) | しとしと降る小雨が続く | |
末候 | 11月2日 | 楓蔦黄(もみじつたきばむ) | もみじや蔦が紅葉する | |
立冬 | 初候 | 11月7日 | 山茶始開(つばきはじめてひらく) | 山茶花が咲き始める |
次候 | 11月12日 | 地始凍(ちはじめてこおる) | 大地が凍り始める | |
末候 | 11月17日 | 金盞香(きんせんかさく) | 水仙の花が咲いて香りを放つ | |
小雪 | 初候 | 11月22日 | 虹蔵不見(にじかくれてみえず) | 虹を見かけなくなる |
次候 | 11月27日 | 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう) | 北風が木の葉を吹き払う | |
末候 | 12月2日 | 橘始黄(たちばなはじめてきばむ) | みかんの実が熟して黄色く色づく | |
大雪 | 初候 | 12月7日 | 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる) | 雲で空が閉ざされ冬となる |
次候 | 12月12日 | 熊蟄穴(くまあなにこもる) | 熊が穴に籠って冬眠する | |
末候 | 12月16日 | 鱖魚群(さけのうおむらがる) | 鮭が産卵のため川を上る | |
冬至 | 初候 | 12月22日 | 乃東生(なつかれくさしょうず) | 夏枯草が芽を出す |
次候 | 11月27日 | 麋角解(おおしかのつのおつる) | 大鹿が角が抜けて生え変わる | |
末候 | 1月1日 | 雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる) | 雪の下で麦が芽を出す | |
小寒 | 初候 | 1月5日 | 芹乃栄(せりすなわちさかう) | 水辺で芹がよく生える |
次候 | 1月10日 | 水泉動(しみずあたたかをふくむ) | 地中で凍っていた泉が動き始める | |
末候 | 1月15日 | 雉始雊(きじはじめてなく) | 雄の雉が求愛のため鳴き始める | |
大寒 | 初候 | 1月20 | 款冬華(ふきのはなさく) | ふきのとうが蕾を出す |
次候 | 1月25日 | 水沢腹堅(さわみずこおりつめる) | 沢に厚い氷が張りつめる | |
末候 | 1月30日 | 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく) | 鶏が卵を産み始める |
季節の移ろいを告げる二十四節気
二十四節気は、1年の季節の移ろいを24分割して、それぞれの日に季節を表す自然そのままの言葉を付けたもの。
ひとつひとにきちんと意味があります。
二十四節気、そして七十二侯は今でこそ意識することは少なくなりましたが、昔は農業の目安として多変重宝されていました。
今だからこそ、あえてそれぞれの節気を意識して、自然の小さな変化を見つめ、耳を傾け、心を寄り添わせてみてはいかがでしょうか。
数百年ものあいだ受け継がれてきた叡智、そして感謝の気持ちから、新たな気づきを見つけられるかもしれませんよ。
また、二十四節気を補助する為に作られた「雑節」という日本独自の暦があります。それについては下記の記事にまとめていますので参考にしてください。