✓夏越の祓は何をするの?
✓水無月や夏越ごはんってどんな食べ物?
このような疑問を解消します。
一年の折り返しとなる6月30日は、「夏越の祓(なごしのはらえ)」という神事が執り行なわれる日。6月の風物詩として知られており、半年間の穢れを祓う大切な神事です。
神社の境内で人が通り抜けられるサイズの大きな輪っかを見たことありませんか?あれは”茅の輪(ちのわ)”と呼ばれる夏越の祓には欠かせないものなのです。
このページでは、夏越の祓がどんな神事なのか、何をするのか、行事ならではの食べ物についてご紹介します。
このページの目次
夏越の祓とは?
夏越の祓(なごしのはらえ)とは、毎年1年の折り返しである「6月の末日(30日)」に執り行なわれている神事。別名「水無月祓」「夏越神事」「六月祓」と呼ばれることもあります。
1年を半分に分けて半年ごとに行われてきた厄払い行事。
昔から人は生活する中で知らず知らずの内に穢れ(けがれ)を蓄積していると考えられいました。
心身に溜まった半年分の穢れや罪、過ちを祓い清めて災厄の原因を浄化し、これからの半年間を無病息災で過ごせるように祈願する儀式が夏越の祓えなのです。
全国各地の神社で執り行なわれており、基本的に誰でも参加することができます。なかには屋台や出店が並び、夏祭りとして楽しめるところもあるなど、夏の風物詩としても親しまれている伝統行事です。
6月の「夏越の祓」と12月の「年越の祓」の違い
夏越の祓は年に2度行われる神事「大祓(おおはらえ)」のひとつであり、「年越の祓」という対の行事が存在します。
大祓とは
日本の神道儀式。
日本の神話に登場する「伊弉諾尊(いざなぎのみこと)」の「禊祓(みそぎはらい)」を起源としており、天武天皇の時代(701年)では今の憲法にあたる「大宝律令」によって、宮中の年中行事として定められていたとされています。
この大祓は、毎年「12月31日」と半年後の「6月30日」の年2回執り行われています
年越の祓は大晦日に執り行なわれる夏越の祓と同じ意味合いを持つ神事。
- 年越の祓は・・・7月1日~12月31日までの上半期
- 夏越の祓は・・・1月1日~6月30日までの下半期
この半年間に溜まった穢れや罪を祓い清め、新年やお盆を迎えます。
大祓:夏越の祓の初穂料は必要?
神社で夏越の祓(大祓)を行う際は初穂料を包むのが一般的。初穂料はあくまで気持ち(思し召し)ではありますが、茅の輪・人形・神札などこれらの準備は神社が行うことを考えると、やはり初穂料は必要でしょう。
大祓の初穂料の相場はいくら?
初穂料の相場は地域や風習によって異なりますが、夏越の祓では500円~3,000円程度を納める方が多いようです。
神社によっては初穂料の金額をホームページに記載いている場合もあるので、ご利用の際は事前にチェックしておくといいでしょう。その場合は指定の金額を納めるようにしてください。
夏越の祓で執り行なう厄落としの行事
夏越の祓で行われる儀式は以下のようなものがあります。
茅の輪くぐり
夏越の祓を象徴する儀式が「茅の輪(ちのわ)くぐり」。神社の境内に草で編んだ大きな輪っかを見たことありませんか?あれは「茅の輪」という茅の輪くぐりに用いるものです。
茅の輪とは、神社の参道や鳥居の下もしくは拝殿前に設置される茅(チガヤ)という植物で編んだ巨大な輪のこと。
POINT
茅の輪の中を「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながら、8の字を書くように3度くぐり抜けるのが作法です。
この茅の輪をくぐる儀式を行うことによって、穢れが清め流され、病気や災いを免れるとされています。かつては小さな茅の輪を腰や首に巻いていたそうです。
人形代
「人形代(ひとかたしろ)」という人の形を模した紙の形代を使い、厄落としを行う神社もあります。この形代には身代わりとしての役割があり、形代に穢れや厄災を移し、それを儀式によって洗い清めるのです。
基本的な手順は下記の通り。
人形代の手順
- 人形代に自分の名前や年齢を記入
- 人形代で体を撫でる(調子の悪いところなど)
- 息を吹きかける
- 最後に神社に奉納
※この手順は神社によって異なることがあります。
奉納された人形代は、参拝者と共に神事の茅の輪くぐりでお祓いされます。その後、川に流したり篝火(かがりび)で焼いて厄を落とすのです。
また、地域によっては人が直に川や海に入ってお清めを行うケースもあります。
夏越の祓ならではの食べ物
夏越の祓ような年中行事には、儀式に合わせて食べる行事食がつきもの。夏越の祓にもこの時期になるとよくいただかれている食べ物があります。
和菓子「水無月」
主に京都エリアにおいて「水無月(みなづき)」という和菓子を食べる習慣があります。三角形に切り分けた白いういろうの生地の上に、甘く煮た小豆を乗せた和菓子です。
水無月の由来
旧暦6月1日は「氷の節句」または「氷の朔日(ついたち)」といわれ、宮中では氷室(貯蔵庫)に貯蔵されていた氷を取り出し、氷を口にすることで暑気払いを行っていました。
しかし、製氷技術のない時代において氷は非常に貴重な高級品。そのため、庶民は氷に見立てたお菓子を作り、氷の代わりに食して健康を祈願するようになったのです。
三角形のういろうが氷を表し、古くから邪気を祓う食べ物と考えられていた小豆を乗せ、6月を意味する「水無月」と名付けました。
主に京都を中心としたエリアに定着しており、この時期に食べることで暑気を払うと共に、邪気払いを行う風習として取り入れられています。
京都だと6月になると和菓子屋に限らずスーパーにも水無月が並ぶそうです。
夏越ごはん
京都方面には「水無月」という行事食がある一方、関東方面には今までこれといった行事食は存在しませんでした。しかし、近年になって「夏越ごはん」という行事食が考案され、関東でも徐々に拡がりを見せています。
夏越ごはんとして紹介されることが多いのは「かき揚げ丼」。しかし、夏越ごはんはかき揚げ丼に限った行事食ではありません。
POINT
粟や豆を入れた雑穀ごはん(又は五穀ごはん、小豆ごはん)の上に、緑や赤の旬の夏野菜を使った丸型の食材を乗せたものが夏越ごはん。
かき揚げなど丸い食材が茅の輪を表しており、赤には邪気払いの意味があります。
公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」が、米食や日本文化を見つめなおすために2015年から推進中。
SNS上で好みの夏野菜を使った夏越ごはんが紹介されるなど、少しずつ認知され始めています。水無月と並んで夏越の祓の定番料理になる日も遠くはないかもしれません。
夏越の祓で上半期の厄を払って無病息災を祈願しよう
夏越の祓とは、半年ごとに執り行う大祓のひとつ。1年の前半である上半期の穢れや罪を祓い清め、後半も元気に過ごせるよう祈願する神道儀式です。
大晦日に行われる年越の祓に比べると少し影は薄いものの、夏の風物詩のひとつとしても楽しめる行事です。
全国各地の神社において、厄払いとなる「茅の輪くぐり」「人形代」の神事が執り行われています。足を運んで儀式に参加してみるのもいいかもしれません。
神事に参加した後は行事食である「水無月」や「夏越ごはん」を味わうのもおすすめ。夏越ごはんを提供してる飲食店も徐々に増えています。もしくは自分なりの夏越ごはんを作ってみるのいいですね。
夏越の祓を意識して季節の行事と食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。