✓お盆の正しい迎え方と送り方は?
✓お盆で準備する物は?
このような疑問を解消します。
お盆はあの世から帰って来るご先祖様の霊を供養する仏教行事。親族で集まったり、お墓参りに行ったりして、故人を偲ぶ大切な期間です。
お盆の期間は8月13日~16日の4日間が一般的で、初日を迎え盆、最終日を送り盆と呼びます。このお盆の迎え方・送り方にも伝統的なやり方があるので、ご先祖様が帰ってくる前におさらいしておきたいところです。
この記事では、お盆の正しい迎え方(迎え盆)と送り方(送り盆)のやり方・マナーをご紹介します。
※お盆の作法は宗派や地域の風習によって様々なので、あくまで一般的な例として参考にしてください
このページの目次
お盆にご先祖様をお迎えする意味
お盆の時期は、ご先祖様が浄土(あの世)から現世(この世)に帰って来ると考えられています。
お盆とは、ご先祖様や亡くなった方の御霊をお迎えする法要行事。
故人の霊を慰め、おもてなしをして供養する期間のこと。
お盆は正式名称「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を略した言い方。古代インドの言葉「ウラバンナ」が語源です。
お盆の期間は、全国的には8月13日~16日(旧盆・8月盆)が主流。しかし、一部7月13日~16日(新盆・7月盆)にお盆を迎える地域もあります。これは旧暦を基準とするか(旧盆)、新暦を基準とするか(新盆)による違い。
そして、初日の13日を「迎え盆(お盆の入り)」、最終日の16日を「送り盆(お盆の明け)」と呼びます。
お盆の基本的な流れ
- 13日にご先祖様や亡くなった方をお迎えする
- 期間中にお墓参りや仏壇の手入れなど供養行事が行われる
- 16日にお見送りする
お盆の詳細はこちらの記事をご覧ください▼
夏の風物詩「お盆」の意味や由来とは【時期やお供えの食べ物など基礎知識を解説】
【迎え盆】お盆の迎え方と準備する物
一般的には8月もしくは7月の13日がお盆の初日。この初日のことを「迎え盆」「お盆の入り」と呼びます。迎え盆では事前に準備しておくことがあるので確認していきましょう。
精霊棚(盆棚)
盆棚とも呼ばれる「精霊棚(しょうりょうだな)」とは、お盆の期間中にお迎えした霊を祀り、供物をお供えするために使う棚のこと。
精霊棚は13日の夕刻までに作るのが一般的です。主な設置場所は、仏壇の前・玄関・縁側・お墓のいずれか。
精霊棚の作成に必要な道具
- 小さな机
- 位牌
- まこも(イネ科の植物)で編んだ敷物
- お供え物
- 盆花(蓮やユリ)
- ホウズキ、昆布
- 精霊馬(ナス牛ときゅうり馬の飾り物)
- 盆提灯
- 笹竹
- まこも縄
必要なものを用意できたら以下の手順で精霊棚を作っていきます。
精霊棚の作り方
- 小机の上にまこもの敷物を敷く
- 四隅に笹竹を立て、上部を縄で渡し、縄にホウズキ・昆布などを吊るす
- 盆提灯を対となるように棚の左右に設置
- 位牌を中央に安置し、お供え物、精霊馬、盆花を飾る
現在は住宅環境の影響で手順の②の工程・道具を省くことも多く、①③④のみでも問題ありません。
迎え火
お盆の最初の日(1日目)に、「迎え火」を焚いてご先祖様の霊を出迎えます。迎え火とは、ご先祖様が迷わず帰ってこれるようにするための家の目印。
火を焚く時間は盆入り(13日)の夕方です。
迎え火に必要な道具
- オガラ ⇨ 麻の皮をむいた茎
- 焙烙(ほうろく) ⇨ 素焼きの平皿(小皿)、又は耐熱小皿
- ライター・マッチ・ロウソク ⇨ 火をつけるもの
- 消火用の水
- 盆提灯
※オガラは仏具店で購入できます
続いて迎え火を行う正しい手順をご説明します。
迎え火(送り火)のやり方
- 盆提灯に火を灯し、玄関や仏壇の近くに置く
- 家の門口や玄関先で焙烙の上にオガラを重ねる
- オガラに火をつけて焚く
- 合掌してご先祖の霊を出迎える(見送る)
昔はお墓の前で焚いた火を盆提灯に移し、その提灯を持ち帰って火種に用いていました。しかし、現在だとその方法を実践するのは厳しいため、自宅でライターやマッチで火をつけるのが一般的です。
マンションの場合、火災報知器が作動したり、近隣住民に迷惑を掛ける可能性があります。その場合は盆提灯を迎え火の代用として用いても問題ありません。
盆提灯
お盆の時期になると、玄関先に提灯が飾られている家を見掛けることがあると思います。あの提灯のことを「盆提灯(ぼんちょうちん)」と呼びます。
盆提灯は、先程紹介した迎え火・送り火と同じ意味・役割を持つ飾りで、ご先祖様や故人が家に帰るとき迷子にならないために飾る目印。
現在の住宅事情では玄関先で火を焚けないご家庭が増えています。そんなご家庭でも、迎え火・送り火と同じ役割を持つ盆提灯を代用として使うことが可能です。
ちなみに、通常の盆提灯は柄付きがポピュラーですが、初盆に限っては無地の白提灯を飾ります。
【送り盆】お盆の送り方と準備する物
一般的に8月もしくは7月の16日がお盆の最終日。このお盆の締めくくりとなる日を「送り盆」「お盆の明け」と呼びます。送り盆では、送り火を焚いてご先祖様を見送るのが古くからの慣わしです。
送り火
お盆の最終日には「送り火」を焚いてご先祖様・故人の霊をお見送りします。送り火とは、お盆のあいだ一緒に過ごした祖霊を送り出すため、あの世に迷わず帰れるように帰り道を照らす灯りのこと。
火を焚く時間は盆の明け(16日)の夕刻か早朝、もしくは前日の15日夕刻に行うこともあります。
送り火のやり方
送り火の手順・必要な道具は迎え火と同じ。
- 盆提灯に火を灯し、玄関や仏壇の近くに置く
- 家の門口や玄関先で焙烙の上にオガラを重ねる
- オガラに火をつけて焚く
- 合掌してご先祖の霊を出迎える(見送る)
迎え火を焚いた同じ場所で、同じように焙烙に乗せたオガラを焚いてお見送りします。
あとは、ご先祖様が無事あの世に帰れるように手を合わせてお祈りしましょう。
お盆飾りの後片付けはこの迎え火を終えてから行うのが基本。また、初盆の場合は白提灯も送り火の時に燃やすのが一般的です。通常の提灯は毎年使うので折り畳んで保管しておいてください。
一大イベントとなっている各地域の送り火の風習
送り火は地域社会全体行事で盛大に行われることもあり、送り火がお盆の一大イベントの化している地域もあります。広く知られている送り火は2つあり、山の一面を使って行われる送り火、川や海に流す送り火。
全国の有名な送り火イベント一例
- 京都五山送り火
- 奈良大文字送り火
- 長崎の精霊流し
- 京都の嵐山灯籠流し
灯篭流しや精霊流しは、お盆にお供えした物や灯篭を海や川に流し、ご先祖様・故人の霊を慰めて弔うためのもの。霊を送ると共に、災厄を流すという意味も含まれています。
大文字焼きの「大」の意味
- 「大」の字は魔除けの力がある五芒星を表しているという説
- 「大」の字は人形に見立てたもので無病息災を祈願しているという説
- 神の化身と考えられていた北極星を象っているという説
この他にも、15日・16日には全国各地で様々な送り火イベントが開催されています。
ご先祖様をしっかりお迎えしてきちんとお見送りしよう
お盆の初日と最終日には、迎え火と送り火を焚くのが伝統的なやり方です。迎え火はあの世から迷わず帰ってこれるように家の目印とする灯り。送り火は無事あの世に戻れるように帰り道を照らす灯り。
この記事では正しい迎え方・見送り方を解説しましたが、手順が正しければそれでいいわけではありません。何より大切なのは、やはりご先祖様や亡くなった方を偲ぶ気持ちです。
迎える側と迎えられる側、どちらにとっても一年に一度しかない大切な時間となります。亡くなった方のことを想いながら、丁寧にお迎えしてしっかり送り出しましょう。
お盆の関連記事はこちらにまとめてあるのでご参考にしてください