
✓お盆花の選び方ってあるの?
✓お花を仏壇やお墓にお供えするときのマナーは?
こんな疑問を解消します。
お盆はご先祖様や故人の魂を供養する行事。あの世から亡くなった方の霊が帰って来て、現世の家族や子孫たちと一緒に過ごします。
霊をお迎えするにあたって欠かせないのがお供え用の『花』。
お盆に仏壇やお墓にお供えする花はどんな種類がいいのでしょうか?準備する際のマナーも気になります。
この記事では、お盆にお供えする花の種類と選び方、準備する際のマナーについてお話します。
このページの目次
お盆に仏壇やお墓にお供えする花の選び方は?
まずは、お盆に飾る花の選び方について解説します。
色は三色(白・黄・紫)か五色(白・黄・紫・赤・ピンク)が基本
仏事にお供えする花の色に厳格の決まりはありませんが、落ち着いた色合いでまとめるのが良いとされています。
オーソドックスな色は「白・黄色・紫」がメインの三色構成。
または、差し色として「赤・ピンク」を加えた五色にすると、明るく見栄えもよくなり、バランス的にもまとまりがよくなります。
ただし、初盆の場合は白を基調とした淡い色の花でまとめるのが一般的。
飾った際のバランスも考慮して選ぶ
お墓の前には、花瓶の代わりとなる供えた花をたてておく「花立」があり、通常は左右に1つずつ用意されています。
花立には、正面から見て花が”左右対称”になるように飾ります。なので、飾った際の花のバランスも考えて選ぶことが大切です。
また、花立はあまり大きくないので、花を飾れないほどたくさん用意しないように気を付けましょう。
亡くなった方が好きだった花や好きな色の花を選ぼう
お盆の花には定番やマナーが少なからずあります。しかし、お盆はあくまでご先祖様や故人を偲び供養することが目的。
最低限のマナーさえ守れるなら、必ずしも定番やルールにこだわる必要はありません。
故人が生前好きだった花、好きな色をご存知の場合は、仏壇やお墓にその花を飾ってみてはいかがでしょうか。
もちろん周りのお墓に迷惑が掛かるような種類の花や飾り方はNGですが、偲ぶ気持ちを大切にして、なるべく故人が喜ぶような花をお供えしてあげてください。
お盆のお供え用に最適な花の種類
まず、基本お供えの花の種類に決まりはありません。
しかし、仏事に選ばれやすい定番の花、あまり相応しくないと考えられている花はありますので、以降でご紹介します。
菊
お盆をはじめ、お供え用の花の定番といえば「菊」。迷ったら菊を選んでおけば間違いないと言えるほど、弔事ではよく用いられています。
昔から、菊は邪気を祓う力があると信じられてきた花です。
そして、何より良いのは「長持ち」するところ。日持ちする花だからお盆の期間中に枯れる心配があまりなく、枯れた際にもあまり散らからないことから、日本では伝統的に菊が仏花に選ばれてきました。
また、菊の花はカラーバリエーションも豊か。仏花に最適とされる白と黄色、アクセントになる赤やピンク、爽やかなブルーも揃っています。
お盆のお供え用としては非常に選びやすい花です。
リンドウ
仏花に最適とされている紫色の花を咲かせる「リンドウ」もおすすめ。
色は紫の他に、こちらもお盆に相応しい白やピンク、スッキリした青などの種類もあります。
派手ではないけどさり気ない華やかさがあるところも人気の理由。
ミソハギ
「ミソハギ」もお盆に飾られる代表的な花です。別名「精霊花」「仏様花」とも呼ばれています。
紫色の小さな花を穂状に咲かせる可憐な花。
ミソハギはちょうどお盆のころに開花するのも人気の理由でしょう。
さらに、ミソハギについた露をお盆に帰ってくる仏様が好む、または仏様は水がほしくてもミソハギについた露でなければ口にされない…という言い伝えもあるほど、お盆にはピッタリの花なのです。
ユリ
優雅で凛とした姿が目を引く「ユリ」も菊と同じく仏教行事では人気の花。結婚式の花束にもよく用いられていますね。
種類はさまざまで、中でも気品さがあり、白色の花を咲かせるカサブランカという品種がおすすめ。他にも、黄色やピンク色のユリもありますよ。
色がお盆に相応しく、見た目も華やか。なので、メインの花として、ユリを中心に他の花を合わせるのが良さそうです。
カーネーション
母の日のイメージが強い「カーネーション」も、仏花としてよく選ばれている花のひとつ。
日本では赤色のカーネーションが有名ですが、他にも白、ピンク、黄色、オレンジ、紫があります。
黄色や紫もいいですが、やはり白色のカネーションが一番おすすめ。
「私の愛情は生きている」という白カーネーションが持つ花言葉も、お盆という行事性にマッチしていますからね。
供養の気持ちと故人への愛情を一緒に表したような花です。
その他のお盆に相応しい花
上記以外にも、お盆花として相応しい花はたくさんあります。
例えば――
- 紫の花が咲き、お盆の頃に最盛期となる「桔梗」
- 黄色やオレンジなど温か味のある色の花をつける「キンセンカ」
- 青紫の優雅な花で、「よい便り」という花言葉を持つ「アイリス」
- 大ぶりで華やかさのある白やピンクの花が咲く「グラジオラス」
この辺の花もお盆花として選ばれている人気の花です。
お盆花には向かないとされている花
上記で紹介した花とは反対に、お盆のお供え用にはあまり向かないとされている花もありますので、併せて紹介します。
注意すべきポイントは以下の3つ▼
POINT
- トゲのある花
- 毒のある花
- 香りが強烈な花
このような特徴を持つ花です。
トゲのあるバラやアザミ、毒性のある水仙やヒガンバナ、周囲の迷惑になりやすい香りが強すぎるヤマユリなどは避けられる傾向にあります。
また、3つの特徴には当てはまりませんが、花がポトリと散る様子が「首が落ちる」様子を連想させる「椿」も避けた方がいいかもしれません。
花をお供えするときに気を付けたいマナー
選び方と花の種類を紹介しましたので、続いて飾る際のマナーやルールについてお話します。
花の本数
お盆をはじめ、仏事にお供えする花の本数は、3本、5本、7本のように”奇数”が基本となります。
奇数にする理由は、日本には「偶数→陰数、奇数→陽数」とする風習があり、慶事の際は奇数が良いとされているからです。
花は左右にお供えするので、2束で1対として用意します。
お墓の花立はさほど大きくないため、多すぎてもお供えできなくなってしまいます。花は少なめに3~7本くらいの本数を用意するようにした方がいいですよ。
飾る際の花の向き
飾った際の花の向きにもポイントがあります。花をお供えする向きは主に3つ。
POINT
- 向下相 ⇨ 供養する人の方を向くように飾る
- 向上相 ⇨ 仏様の方を向くように飾る
- 向中相 ⇨ 四方八方に向くように飾る
3つの内どれが正しいのかと言うと、地域や宗派、個人によって異なります。
一般的には①の供養する側に花を剥ける向下相が多いです。ご先祖様や故人の魂を供養するためなのだから、向上相が正しいように思えるでしょう。
しかし、仏花は仏様の慈悲の心を表したものだと考えられているため、仏様の慈悲をいただくという意味で供養する側に向けて飾られるようです。同時に、供養する人の心を清めるという意味もあるのだとか。
生花ではなく造花はNG?OK?
結論から述べますと、お盆花は造花でも一応OKです。
むしろ、地域によっては昔から造花をお供えしているケースもありますから。
お盆に備える花として大事なポイントが「長持ちする」ところ。枯れた花を飾るのは気分の良いものではありませんし、周囲からの印象も悪く、片付けるのも手間です。
特に夏の時期は暑さで枯れやすいので、その心配がない造花を飾るのは合理的とも言えます。
もちろん、生花には造花にない生きた美しさがあり、枯れる姿にも命や一生の儚さを感じさせるものがあります。また、造花は「死に花」とも呼ばれるため、相応しくないという意見も聞きます。
どちらを選んでも間違いではないので、それぞれの都合や意見を参考にして選んでください。
お盆に帰ってくる故人の魂が喜ぶ花を選ぼう
お盆に仏壇やお墓にお供えする花には、実は絶対の正解はありません。最低限のマナーを守り、周りの迷惑にならない花であれば、どんな花でも大丈夫です。
それでも、地域や宗派のしきたりや風習は一応確認しておくといいでしょう。
故人を偲び供養する想いが大切です。なので、難しく考えず、故人が生前好きだった花や色にするのも一つの選び方。
どうしても迷ってしまう場合は、菊やミソハギ、リンドウのような定番の花がおすすめ。何度も言いますが、大事なのは感謝と偲ぶ気持ちを込めてお供えすることですから。
あの世からご先祖様や故人の魂をお迎えする際は、故人が喜んでくれそうな花を選び、思いを馳せながらお墓や仏壇に花を飾ってあげてください。
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