秋と春の年2回あるお彼岸。この時期が近づくと、お供え物の準備に取り掛かる方も多いと思われます。
自宅・実家のお仏壇へのお供えはもちろん、他家を訪ねる折に持参することがマナーとされているのですが――

おはぎ(ぼた餅)・・・か?
お彼岸に相応しいお供え物選びは悩まされることも多いですよね。
ここでは、お彼岸に用意しておきたいお供え物の選び方やマナーについてお伝えしていきます。迷ってる方は是非参考にしてください。
このページの目次
お彼岸のお供え物は何が向いてる?
まずは、お彼岸のお供え物によく選ばれている定番を確認してみましょう。
定番のお供え物
自宅のお仏壇にお供えする場合▼
☞ お菓子・果物・飲み物
お寺の法要に持っていく場合▼
☞ お菓子・お茶菓子
他家に持参する・送る場合▼
☞ お菓子・果物・飲み物・お線香・ろうそく
いただいたお供え物へのお返し▼
☞ お菓子・飲み物・保存がきく食品・タオル・洗剤などの消耗品
一般的にはお菓子や果物類が多く、お酒やジュース類、他にはお線香や絵柄付きろうそくも珍しくありません。
日持ちするお菓子や故人の好物が定番
地域によって差異はありますが、中でも”日持ちするお菓子(お茶菓子)”の人気が高くいです。
お饅頭・羊羹・どら焼き・粟おこし・おせんべいなどさまざま。最近ではゼリーやクッキーなどの洋菓子も増えています。
お菓子ならば、自宅のお仏壇用、お墓参り用、お寺用(彼岸会)、他家への訪問時用、お返し用、どのケースにも対応できるため選びやすいです。
なかなか決められない時は相手の家族構成に合わせたお菓子選びをオススメします。
また、故人が好きだった食べ物や飲み物も定番と言えます。
生前よく食べていた好物をお供えすれば、きっと故人もすごく喜んでくれるはず。
お彼岸といえば「おはぎ」と「ぼた餅」
お彼岸の定番として特に有名なお菓子といえば、「おはぎ」と「ぼた餅」ですね。
両方とも炊いたモチ米を丸めたものにあんこを絡めたお菓子なので、違いはほとんどないのですが、
- 春は牡丹の花にちなんで「ぼた餅」
- 秋は萩の花にちなんで「おはぎ」
と呼び分けるのが一般的。
地域ごとの風習によって違うケースもあり、こし餡を使ったものをぼた餅、つぶ餡を使ったものをおはぎ、と呼ぶところもあります。
秋のおはぎがつぶ餡なのは、ちょうどこの時期が小豆の収穫時期だからです。
おはぎやぼた餅をお彼岸にお供えしたり食べたりする理由は、
古来より日本では赤色には「魔除け」の力が宿ると考えられており、原材料である”小豆”は祝いの席や儀式で餡子にして出されていました。
その慣わしから、邪気払い・魔除けの意味を込めておはぎやぼた餅をご先祖様にお供えするようになったのです。
但し、お彼岸の定番ではあるのですが、おはぎやぼた餅は生菓子なのであまり日持ちはしません。
手作りしたものを他家へ訪問する際に持参するなら、一緒に日持ちする正式なお供え物も用意しておいた方がいいでしょう。
自宅用なら特に問題はありません。
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お供え物を選ぶポイント・注意点
お彼岸のお供え物は特に厳格な決まりがあるわけではありません。
どんな物を
お供え物の一般的な相場は?
お供え物の相場は、だいたい「3000円~5000円」くらいが一般的な金額です。
相手との間柄によって金額は浮動するので、あくまで目安として参考にしてください。とりわけお世話になってる方なら、普通より予算を多めに割くという選択も十分アリでしょう。
高すぎると先方がお返し選びに頭を悩ませたり、それが負担になってしまうこともあるため、多めと言っても多少アップ程度に留めておく方がいいです。
但し、お彼岸はあくまで供養が目的なので、あまり金額に捕らわれず、故人が喜ぶお供え物を選ぶことが大切。
お供え物に向かない食べ物
お供え物には絶対にコレという決まりはないのですが、あまり向かないと言われる食べ物があるのでお伝えしておきます。
- 日持ちしない食べ物
- 殺生を連想させるもの(魚や肉類)
大きく分けると主にこの2つ。
お彼岸は計7日間に及ぶため、日持ちしない食べ物だと傷めてダメにしてしまう恐れがあります。
ご自宅用ならまだしも、贈り物とする場合は相手への配慮として避けておくのが無難。
また、お彼岸は仏事ということで、仏教が禁じている殺生に通じる食べ物もあまり好まれません。
というのは建前で、肉やお魚などの生鮮食品は保存に気を遣わせてしまうため、ギフトとして相応しくないという考え方からNGにされやすいです。
とは言っても、あくまで一般的には不向きとされているだけなので、故人が好きだった食べ物なら選択肢の一つになりえます。
実際に受け取る方への配慮は必要ですが。
お供え物に「熨斗(のし)」は必要?
お祝いの品に利用される「熨斗(のし)」ですが、お彼岸のお供え物には使いません。
のしというのは、不老長寿を象徴する”あわび”を薄くのばして乾燥させた「あわびのし」が由来で、祝儀や慶事の際に利用されるものです。
そのため、お彼岸のような仏事・弔事では、のしではなく「掛け紙」を利用するのが正しい作法となります。
掛け紙について
中央で結び目を作っている紐「水引き」ですが、この形や色は使う場面によって違いがあるので注意してください。
お彼岸のお供え物に使う場合の水引きは――
- 色が「黒白」か「黄白」のもの
- 形が「結び切り」か「あわじ結び」のもの
- 5本結び
5本とあわじ結びは、慶事にも弔事にも使用可能です。
一般的には黒白の結び切りなのですが、関西では黄白の水引きがよく使われています。
地域によって違うこともあるので、先方の地域に独自の風習がないか事前に確認しておいた方がいいですよ。
また、お店で品物を購入する場合はお彼岸の品だと伝えておきましょう。
でないと、お彼岸には相応しくないのし入りの掛け紙を付けられてしまうこともあるため、それに気づかず渡してしまうと失礼になってしまいます。
表書きは、上段には「御供」や「御供物料」と記入し、下段に自分の氏名(名字のみでも可)を記入してください。
お彼岸用のギフトセットなら、掛け紙もお彼岸用にできています。
まとめ
お彼岸のお供え物は、実のところ絶対コレという厳格な決まりはありません。
迷ったときには、日持ちするお菓子、故人の好物、先方の家族に合うものを選ぶと喜ばれやすいです。
和菓子が一般的ではありますが、最近の傾向からして洋スイーツでも特に問題ありません。
お彼岸の贈り物というのは、消えもの(消耗品)が好まれやすいので、食品以外から選ぶ際もこのポイントを考慮して思索するといいでしょう。
ただ、他の仏事に比べてそれなりに自由が利くお彼岸なら、あまり一般的な常識に捕われなくてもいいと思います。
故人が喜びそうなものや先方の家族が喜ぶものであれば、一般的から多少ズレたお供え物だとしても、先方も気持ちを汲み取ってくれるかもしれません。
相手に合わせた柔軟なお供え選びができたらいいですね。
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