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人日の節句の意味と由来【1月7日に七草粥を食べる理由も紹介】

✓人日の節句はいつ?
✓人日の節句はどんな日?
✓どうして七草粥を食べるの?

こんな疑問を解消します。

 

みなさんは人日の節句という行事をご存知でしょうか。現代ではあまり馴染みのない行事となっていますが、「桃の節句(ひな祭り)」や「端午の節句」と同じ五節句のひとつです。「春の七草の日」「七草粥を食べる日」とも言われています。

いったいどのような行事で、何をする日なのか。また、七草粥との関連性も気になるところです。

 

このページでは、人日の節句の意味と由来、時期はいつなのか、七草粥を食べる理由をご紹介します。

 

人日の節句はいつ?

まずは、人日の節句はそもそも「いつ」なのかが気になるところ。

人日の節句は毎年1月7日。

多くの地域ではお正月の最終日、松の内の最終日(関西など一部地域は1月15日)にあたる日となります。

 

人日の節句とは?【由来と意味】

人日の節句とは?どんな意味や由来がある?

人日の節句の読み方は「じんじつのせっく」。桃の節句や端午の節句と同じく古代中国から伝わって来た「五節句」のひとつ。そして、五節句のなかでは1番最初の節句となります。

五節句とは

季節の変わり目に生まれやすい邪気や厄を払い、無病息災を願う五つの神事。

昔の日本では、体調不良は邪気の影響によるものだと考えられていました。

ご覧の通り、五節句は基本的に”同じ奇数が並ぶ日”から選ばれています。これは、古代中国では「偶数は縁起の悪い”陰数”」「奇数は縁起の良い”陽数”」と考えられていたため。

しかし、人日の節句は唯一同じ数字が並んでいない節句となっています。

 

人日の節句は「人の日」

人日とは、その名の通り「人の日」という意味です。古代中国(前漢の時代)では、正月の1月1日~7日の各日にそれぞれ異なる動物をあてはめた占いを行っていました。

1日 ➡ 鶏(にわとり)

2日 ➡ 狗(いぬ)・犬(いぬ)

3日 ➡ 猪(いのしし)・豚(ぶた)

4日 ➡ 羊(ひつじ)

5日 ➡ 牛(うし)

6日 ➡ 馬(うま)

7日 ➡ 人間(にんげん)

ご覧の通り、7日は人を占う日、人を大切にする日として「人日」となります。それぞれの日は該当する動物を殺してはいけないとされていました。7日は犯罪者に対してすら刑罰を実行しないことになっていたそうです。

 

他の五節句と同じであるならば、最初の節句は1月1日になるはず。しかし、もともと1月1日は1年で最もおめでたい日とされてきた元旦。そのため、元旦の1月1日は別格扱いされており、代わりに人の日とされていた人日が五節句に加えられました。

人日の風習が日本に伝わってきたのは平安時代。五節句として人日の節句が定められたのは江戸時代のころ。

 

人日の節句の食べ物といえば「七草粥」

人日の節句に七草粥を食べる理由

人日の節句に欠かせない行事食といえば、七草粥です。1月7日を人日の節句とは知らなくても、七草粥を食べる日として知っている方は多いのではないでしょうか。

そのため、人日の節句は別名「春の七草の日」「七草の節句」「七種(ななくさ)の節句」とも呼ばれています。

 

1月7日に七草粥を食べる風習は、以下の2つの風習が習合したもの▼

  • 中国の風習「七種菜羹ななしゅさいのかん)」
  • 日本古来の風習「若菜摘み(わかなつみ)」

中国では唐の時代に、人日の節句には七種類の若菜を入れた汁物「七種菜羹」を食していました。これは、邪気を祓い無病息災を祈る意味があります。

この風習が日本に伝わった際に、日本古来より行われていた「若菜摘み(年の初めに若菜を摘み自然界の生命力をいただく)」と結びつき、1月7日に七草粥を食べる風習が生まれました。

平安時代に生まれた七草粥は当初宮中行事だったようです。それが江戸時代に五節句が定めらたことで、庶民の間にも広く浸透することになります。

 

七草粥が定着したのは正月のご馳走も関係していた

七草粥の本来の意味は、自然界の強い生命力をいただき、邪気を祓い一年間の無病息災を祈ること。でも、日本で広く定着した背景には正月のご馳走が関係していました。

人日の節句である1月7日といえば、正月飾りの期間とされている松の内の最終日。年末の忘年会から新年のお正月にあたる期間は、豪華な食事やお酒の食べ過ぎ飲み過ぎで胃腸はかなりお疲れ気味。

七草粥には正月のご馳走で疲れた胃腸を癒し、野菜不足を補う効果があります。まさに正月の最終日にピッタリの食事。胃腸をいたわる生活の知恵として食べられていたんです。

この時期なら、スーパーや通販を利用すれば七草粥セットは簡単に購入できます。

ちなみに、現在ではほぼ見られなくなりましたが、人日の節句には七草粥の他に「七草爪(ななくさづめ)」という慣わしも存在します。1月7日の朝、春の七草を浸した水にしばらく指を入れ、爪を柔らかくしてから切ることで、1年間を無病息災で過ごせるという風習です。

 

春の七草を全部言える?

七草粥に入れる春の七草と言われる7種類の植物・野菜は、「セリ」「ナズナ 」「ゴギョウ」「ハコベラ 」「 ホトケノザ 」「スズナ」「スズシロ 」です。

(1)芹(セリ)・・・シロネグサとも呼ばれ、整腸作用がある

(2)薺(なずな)・・・ペンペン草とも呼ばれ、血圧を下げる効果がある

(3)御形(ごぎょう)・・・とも呼ばれ、咳止めに効果的

(4)繫縷(はこべら)整腸作用や鎮痛効果がある

(5)仏の座(ほとけのざ)・・・タピラコとも呼ばれ、整腸作用・高血圧予防に効果的

(6)菘(すずな)・・・蕪(かぶ)のこと

(7)蘿蔔(すずしろ)・・・大根のこと

 

簡単に覚える方法としては短歌(5・7・5・7・7)のリズムに合わせる覚え方がおすすめ。

せり・なずな / ごぎょう・はこべら / ほとけのざ / すずな・すずしろ / 春の七草

リズムやメロディーに合わせると記憶に残りやすいので、 口ずさみながら自然に覚えられます。

 

春の七草についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください▼

七草粥に入れる春の七草の種類は?【由来やそれぞれの効能、簡単な覚え方も解説】

 

人日の節句に七草粥を食べて自分の体を労わろう!

人日の節句は人を大切にする日という意味を持つ行事です。この日に七草粥を食べるのは、邪気を祓って無病息災を願うため。そして、年末年始の豪華な食事とお酒で疲れた胃腸を労い、冬場に不足しがちな栄養を補給するためでもあります。

他の五節句は全て「3月3日」「5月5日」のように奇数が並んだ日ですが、人日の節句だけは「1月7日」なので間違えないように気を付けてください。

今年は体を労るためにも、人日の節句に七草粥を召し上がってみてはいかがでしょうか。

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