✓七夕で願い事するのはなぜ?
✓笹や竹の飾りの意味は?
このような七夕に関する疑問を解消します。
7月7日は日本の夏の風物詩、七夕です。古くから日本人に親しまれてきた行事。短冊に願い事を書いて笹に吊るした思い出のある方は多いことでしょう。
でも、「日本ではいつから始まったのか」「なぜ短冊に願い事を書くか」など、七夕の詳細まで知っている方は少ないかもしれません。
そこで今回は、七夕の意味や由来、願い事をする理由など、知っておきたい七夕の基礎知識をご紹介します。
このページの目次
七夕とは【意味や由来】
短冊の願い事や、織姫彦星伝説でも知られる七夕。正式な名称は「七夕(しちせき)の節句」と言います。他にも「笹の節句」「竹の節句」「星祭り」とも呼ばれる日本の伝統行事です。もともとは古代中国から伝わってきた「五節句」が由来とされています。
五節句とは
季節の変わり目に生まれやすい邪気や厄を払い、無病息災を願う五つの神事。
- 人日(七草がゆ)・・・1月7日
- 上巳(桃の節句)・・・3月3日
- 端午(菖蒲の節句)・・・5月5日
- 七夕(星祭)・・・7月7日
- 重陽(菊の節句)・・・9月9日
五節句は江戸時代に幕府が制定した式日(祝日)。
日本の七夕の成り立ちは少々複雑で、中国の風習と日本古来の信仰がミックスされて形作られています。
POINT
「中国:牽牛と織女伝説」+「中国:乞巧奠(きっこうでん)」+「日本:棚機女(たなばたつめ)」「日本:お盆」=現在の七夕
由来①:「牽牛星」と「織女星」の伝説
中国には「牽牛星(げんぎゅうせい)」と「織女星(しょくじょ)」の星伝説があります。これは日本でも有名な「織姫と彦星の物語」のことです。
- 裁縫の仕事を司る「織女星【琴座のベガ】」
- 農業の仕事を司る星「牽牛星(鷲座のアルタイル)」
2つの星は旧暦7月7日の天の川に最も強く輝きます。そのことから、1年に1度の”巡り合いの日”として、中国でロマンチックな物語が作られました。
由来②:乞巧奠(きっこうでん)の風習
「乞巧奠(きっこうでん)」は牽牛星と織女星の星伝説から生まれた風習です。これは牽牛星と織女星(織姫と彦星)を祭る儀式で、実は七夕のお願い事はこの乞巧奠という風習が由来となっています。
乞巧奠とは、7月7日の夕方もしくは夜に裁縫を司る星「織女星(織姫)」に針や糸をお供えして、手芸・裁縫・織物の技術が上達するように星へ祈りを捧げる風習。
乞巧奠の「乞」は願う。「巧」は巧みに上達する。「奠」は祀るという意味。
次第に織物の技術だけではなく書道や芸術の上達も願うようになり、現在では願い事の枠は無くなり様々な願い事をする風習に変化しています。
正式名称が「七夕=しちせき」なのは、この儀式が”7月7日の夕方”に行われていたから。
由来3:日本古来の信仰「棚機女(たなばたつめ)」
七夕の風習が日本に伝来したのは奈良時代だと言われています。それ以前から、古来より日本にも「棚機女(たなばたつめ)」という信仰が存在していました。
棚機女とは、機(はた)織りをする乙女を指し、水辺の小屋で祭事に使う神聖な布を織り、祖霊・客神(まれびと)を迎える風習。
七夕を「たなばた」と読むようになったのは、この棚機女が由来だと言われています。
また、7月7日はお盆の準備をする日です(お盆は旧暦の7月15日)。古くは七夕は「棚幡」とも表記され、当日の夕方に先祖の霊を招くための「精霊棚」と「幡」を飾ることが語源となったという説もあります。
このように、七夕は日本と中国の様々な伝承や信仰がミックスされています。その他にも様々な説があるため、七夕の由来・起源は複雑なのです。
七夕はいつ?8月の地域もある?
七夕は毎年7月7日。
多くの地域では7月7日に行うのが一般的です。でも、実は全国すべての地域がこの日とは限りません。月遅れの「8月7日」、旧暦の7月7日にあたる「8月25日頃」に開催している地域もあります。
■8月25日頃の地域
七夕は古くから7月7日の行事でしたが、昔は現在とは異なる旧暦を使用していたことが主な理由。同じ7月7日でも、旧暦と新暦ではかなりのズレが生じます。全国的には新暦でも7月7日のままにした地域が多数派ですが、中には旧暦に合わせて「8月25日頃」の地域も少なからずあります。
■8月7日の地域
7月7日はまだ梅雨の時期であることも理由のひとつ。ただ、旧暦に合わせると毎年日にちが変わってしまうことから、7日はそのままで、月は旧暦に合わせて8月にして月遅れの「8月7日」に行われます。
七夕飾りの意味
七夕の飾りをまとめたのでよければご参考にしてください。
笹竹に短冊
七夕の代名詞といえば願い事を書く短冊。そして、短冊を吊るした笹竹をイメージする人が多いと思います。
5色(赤・青・黄・白・黒)の短冊に願いを書いて笹に飾るのが一般的。これは、先程紹介した乞巧奠の風習を由来としており、五色の糸を笹竹にかけて祭壇にお供えしたという儀式から来ています。
また、室町時代は短冊に和歌を書き、硯や墨や筆などを納めていました。笹竹に紙の短冊や飾りを吊るす風習が始まったのは江戸時代から。
笹竹に飾る理由は、古くから神聖な植物と考えられていたから。生命力が強く、笹の葉の擦れ合う音は神様を招くと考えられていたことから、神秘性と生命力を兼ね備えた笹竹を使うようになりました。
五色は中国の五行説に基づいた色
なぜ赤・青・黄・白・黒の五色なのかというと、これは中国の五行説に基づいているからです。「木・火・土・金・水」の5つの要素を、それぞれ「木=青、火=赤、 土=黄、金=白、水=黒(紫)」と表しています。
この五色の短冊を飾ることによって、願い事の祈願に加えて魔除けの意味も持たせていたのだとか。
短冊以外の七夕飾り
- 折り鶴(千羽鶴) ⇨ 長生きな鶴を折り紙にして、長寿を祈願
- 紙衣(かみこ) ⇨ 紙で作った人形。女子の裁縫が上達し、着るものに苦労しないように願う
- 吹き流し ⇨ 織姫のように裁縫が上達するように願う
- 巾着(財布) ⇨ 巾着の形に折った折り紙で、金運上昇を願う
- 輪飾り ⇨ みんなの夢や願が消えずに連なりますようにという意味
- 投網(網飾り) ⇨ 豊漁を願う
- くずかご ⇨ 七夕飾りのゴミを入れる折り紙で作ったかご。整理整頓と節約の心を育むという意味
- 星飾り(菱飾り) ⇨ 星に願いが届きますようにという意味
- 提灯 ⇨ 心や未来を明るく照らしますようにという意味
意味や由来を知って七夕をより楽しく過ごそう
日本で広く親しまれている七夕。実は中国と日本のいろいろな伝承や信仰がミックスされています。
ただ、中国の影響を強く受けてはいても、現在の七夕は日本独自の形に変化しています。笹竹を飾るのも、お盆と結び付けているのも、これは日本独自の進化です。
このような歴史を知ると、七夕をより身近に感じることができます。短冊に願いを書くだけではなく、お子さんにも由来や飾りの意味を教えてあげてみてはいかがでしょうか。家族や友人と一緒に楽しい七夕をお過ごしください。
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