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七草粥を食べる理由と春の七草の種類【由来・効能・簡単な覚え方を紹介】

春の七草の由来と種類。植物の効能や覚え方の解説

✓春の七草(七草粥)ってなに?
✓春の七草の種類は?
✓春の七草の覚え方は?

こんな疑問を解消します。

 

正月が終わりとなる1月7日、日本では「春の七草」を「七草粥」にして食べる風習があります。スーパーでも七草粥のセットが販売されていることが多いです。

でも、最近は食べたことがない人どころか、七草を知らない人も増えているのだとか。どうして食べるのかを知っている人も少ないかもしれません。

 

この記事では、春の七草(七草粥)の意味や由来、7つの植物の種類と効能、七草の分かりやすい覚え方をご紹介します。

 

七草粥を食べる理由と由来

日本には古くより、1月7日の朝に「七草粥(ななくさがゆ)」を食べる風習がありました。その七草粥に使われている7種類の植物が「春の七草」です。

七草粥を食べる理由は、七草の若菜の生命力をいただくことによって、邪気・災いを祓い、無病息災・延命長寿を祈願するため。

それでは、どのようにして七草粥を食べる風習が生れたのかを見ていきましょう。

 

元々は中国の風習だった

春の七草の起源をたどると古代中国にまでさかのぼります。前漢(紀元前206~8年)の時代。隣国中国では日付に人や動物を見立てた占いを行っていました。

「元旦➡鶏、2日➡犬、3日➡猪、4日➡羊、5日➡牛、6日➡馬、7日➡人、8日➡穀」

当日は対象物が大切に扱われていたそうです。

 

その内の一つ、7日は人を対象とした「人日の節句」。唐の時代に「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という7種類の野菜を入れた汁物を食べて、無病息災を祈願する風習が始まりました。

 

日本古来の風習と合体

七種菜羹の風習は、奈良時代から平安時代ごろに日本に伝わって来たと言われています。

当時日本には「若菜摘み」という新春に若菜を摘む風習がありました。また、宮中では1月15日に「米・粟・稗・黍・ミノ・胡麻・小豆」などの7種類の穀類を粥にして食べる習慣もあったようです。

  • 古代中国の風習【七種菜羹】
  • 日本古来の風習【若菜摘み】
  • 7種の穀類を食べる風習

これらが平安時代に合わさり、1月7日に「七草粥」が食べられるようになりました。

 

鎌倉時代に穀類から現在の七草に変わったと言われています。さらに江戸時代に入ると、幕府が1月7日を「人日の節句」として五節句の一つに制定しました。

五節句とは

季節の変わり目に生まれやすい邪気や厄を祓い、無病息災を願う五つの神事です。

  • 人日(七草がゆ)・・・1月7日
  • 上巳(桃の節句)・・・3月3日
  • 端午(菖蒲の節句)・・・5月5日
  • 七夕(星祭)・・・7月7日
  • 重陽(菊の節句)・・・9月9日

この日を人日の節句として定めたことによって、「人日に七草粥を食べる」という風習が庶民のあいだにも広く定着したのです。1月7日が「七草の節句」と呼ばれるのはそのため。

 

人日の節句の詳細はこちらの記事をご覧ください▼

人日の節句の意味と由来【1月7日に七草粥を食べる理由】

 

春の七草にはどんな植物がある?花言葉は?

春の七草の7種類の植物

それでは、春の七草にはどんな種類の植物があるのかをご紹介します。

 

1.芹(セリ)

茎の先端に傘状の小さな花を咲かせる別名「シロネグサ」と呼ばれるセリ科の植物。「競り勝つ」という縁起を担ぐ意味があります。主に含まれている栄養素は、ビタミンA・ビタミンC・ミネラル・βカロテン。

薬効:食欲増進・整腸・解熱・高血圧や動脈硬化の抑制


2.薺(ナズナ)

日本各地の草原や道端で見掛ける別名「ぺんぺん草」と呼ばれるアブラナ科の植物。古くから民間療法として使われてきた植物です。主に含まれている栄養素は、ビタミンB・ビタミンK・ミネラル・カルシウム。

薬効:止血・消炎・高血圧予防・利尿・下痢・便秘


3.御形(ゴギョウ)

先端に黄色い花をつける別名「ハハコグサ」とも呼ばれるキク科の植物。「仏様の体」を表す縁起物であり、明治時代までは草餅にも使われていました。ミネラルを含んでいますが、詳しい栄養成分はまだ分かっていません。

薬効:咳止め・痰きり・利尿


4.繁縷(ハコベラ)

小さい白い花を咲かせる別名「ハコベ」とも呼ばれるナデシコ科の植物。「繁栄がはびこる(広がる)」という縁起を担ぐ意味を持っています。主に含まれている栄養素は、タンパク質・ミネラル・サポニン。

薬効:利尿・整腸・鎮痛・止血・歯槽膿漏予防


5.仏の座(ホトケノザ)

名前からして縁起が良い別名「コオニタビラコ」と呼ばれるキク科の植物。最近ではオニタビラコを代用として使うこともあります。ちなみに、これは別のシソ科にあるホトケノザの名称が付く植物は食用ではありません。

花言葉:整腸・高血圧予防


6.菘(スズナ)

一般的には「カブ」で知られているアブラナ科の植物。「神様を呼ぶ鈴」と考えられている縁起物です。主に含まれている栄養素は、ビタミンA・ビタミンC・カロテン・食物繊維・カルシウム。

薬効:整腸・消化促進・風邪予防・骨粗鬆症予防


7.蘿蔔(スズシロ)

別名「ダイコン」として現代でも日常的に食べられている野菜。「汚れのない純白さ」という意味を持っています。主に含まれている栄養素はスズナ(カブ)と似ていて、ビタミンA・ビタミンC・カロテン・食物繊維・カルシウム。

薬効:消化促進・便秘・冷え性・血栓防止・二日酔い防止

 

春の七草の簡単な覚え方

春の七草は7種類の植物があるのは分かります。でも、あまり一般的には聞き慣れない植物もあるため、全てを覚えるのに苦労している人もいるかもしれません。

最も簡単で覚えやすい方法は、「5・7・5・7・7」の短歌のリズムに合わせてテンポよく覚える方法。リズムに乗せて口ずさむと暗記しやすくなりますよ。

セリ・ナズナ ⇒ ゴギョウ・ハコベラ ⇒ ホトケノザ ⇒ スズナ・スズシロ ⇒ 春の七草

組み合わせ方は自分の覚えやすいように入れ替えて構いません。リズムに乗せて繰り返し詠むことで記憶に定着しやすくなります。

 

一応語呂合わせも出来るかどうか考えてみたのですが、どの組み合わせもイマイチしっくり来ませんでした。語呂合わせで覚える方法は「秋の七草」の方が使いやすいです。

秋の七草の詳細はこちらの記事をご覧ください▼

秋の七草は食べる?意味から草花の種類・覚え方まで紹介します!

 

まとめ

春の七草は正月期間である松の内の最後の日、1月7日に行われてきた風習です。七草粥を食べる習慣は時代の経過と共に徐々に薄れているように感じます。でも、意味や由来を知ると先人の知恵や想いが込められた風習であることが分かります。

胃腸に優しく、栄養価はとても高く、得られる効能も多く、単純に健康効果が非常に高い身体に優しい料理です。お正月は美味しい御馳走やお酒のせいで、胃や腸はちょっとお疲れ気味。七草粥を食べることで胃腸の働きを整えてあげましょう。

作り方は普通のお粥とほとんど変わりません。よければ今年のお正月終わりに七草粥を試してみてください。

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