✓賀詞ってなにを使えばいいの?
✓宛名の正しい書き方は?
このような疑問を解消します。
今年も年賀状の季節がやってきました。親しい方やお世話になった方に送る新年を祝う大切な挨拶状です。
もちろん年賀状には正しい書き方というものがあります。ただ、1年に1度となると、構成や賀詞の使い方など、細かなルールや決まりを忘れてしまう事もあるでしょう。
大切な新年最初の挨拶として、失礼のないように年賀状を送りたいものです。
この記事では、年賀状の正しい書き方とマナーについて分かりやすくご紹介します。
このページの目次
年賀状の書き方:裏書きの基本的な構成とマナー
年賀状の裏面の文面は、次の4つの項目の順番で構成されているのが一般的です。
①賀詞(がし)
年賀状の冒頭に大きく書く先方への新年の祝いの言葉です。
- 謹賀新年
- 明けましておめでとうございます
- 迎春
②感謝や挨拶を述べる文章
前年のお礼、先方の無事や幸福を祈る気持ち、今後のお付き合いをお願いする言葉を組み合わせた挨拶。
【お礼】
- 昨年中は大変お世話になりました
- 旧年中は一方ならぬ御厚情を賜り厚く御礼申し上げます
【願い】
- 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
- 本年も相変わりませずご指導のほどよろしくお願い致します
【祈り】
- 皆様のご健康とご多幸を心からお祈りいたします
- ますますのご活躍をお祈り申し上げます
③年号と日付
新年の年号と日付を書きます。作成日ではなく「元旦」や「正月」と記載。
- 令和〇〇年 元旦
- 令和〇〇年 正月
④一言メッセージ(添え書き)
最後の空きスペースには、個別に伝えたい一言メッセージを書きます。最近は①~③は同じ内容で印刷し、④のみ手書きで一言添える方が増えています。
②とは被らない「感謝」「気遣い」「お願い」の言葉や、共通の話題、近況報告などを書きましょう。
- 近くにお越しの際にはぜひお立ち寄りください
- また近いうちにみんなで飲みに行きましょう
- 昨年〇月に新たな家族が仲間入りしました
- 昨年の〇〇の研修では丁寧にご指導いただきありがとうございました
年賀状の一言メッセージはこちらの記事が参考になります▼
困ったときに使える年賀状に添える一言メッセージの文例を立場別で紹介
賀詞の種類と使い方
新年を祝う言葉の賀詞は、「寿」のような一文字から、「迎春」のような二文字、「謹賀新年」のような四文字、そして「あけましておめでとうございます」という文章ものまで種類はさまざま。
それらに加えて「Happy New Year」といった英文スタイルもよく使われています。
漢字一文字の賀詞
寿:めでたい、祝う
賀:祝う、よろこぶ
福:幸せ
春:新年、1年の始まり
禧:よろこぶ
慶:よろこぶ
和:なごやか
吉:めでたい、縁起が良い
安:やすらか
漢字二文字の賀詞
迎春:新春(新年)を迎える
賀春:新年を祝う
賀正:正月を祝う
新春:新しい春
寿春:新年(新春)を祝う
慶春:新年(新春)を祝う
頌春:新年(新春)をたたえる
慶賀:よろこび祝う
慶福:めでたいこと
福寿:幸福で長生きする
漢字四文字の賀詞
謹賀新年:謹んで新年のお喜びを申し上げます
謹賀新春:謹んで新春のお喜びを申し上げます
恭賀新年:恭しく新年のお喜びを申し上げます
恭賀新春:恭しく新春のお喜びを申し上げます
恭賀新正:恭しく新たな正月をお祝い申し上げます
恭頌新禧:恭しく新年の喜びをお讃え申し上げます
慶賀光春:輝かしい新春のお喜びを申し上げます
慶禧萬福:めでたいこと、幸せなこと、良いことが多くあるようお祈り致します
敬頌新禧:恭しく新年のお喜びをお讃え申し上げます
迎春万歳:新年を迎えお喜び申し上げます
笑門来福:笑う門には福来る
長生無極:いつまでも長生きするようお祈り申し上げます
年豊人楽:実り豊かで楽しい年になるようお祈り申し上げます
瑞祥新春:新年を喜び吉兆をお届け致します
文章タイプの賀詞
あけましておめでとうございます
新年おめでとうございます
新春のお慶びを申し上げます
新年の御祝詞を申し上げます
謹んで新年のご祝詞を申し上げます
謹んで新年(新春)のお祝いを申し上げます
謹んで新年(新春)のお慶びを申し上げます
英文タイプの賀詞
Happy New Year(新年おめでとう)
New Year’s Greetings(新年のごあいさつ)
賀詞の関係別の使い分け方・選び方
賀詞は一文字から文章ものまで色々ありますが、いずれも「おめでたい」「新年(正月)の訪れを祝う」という意味。賀詞は年賀状を送る相手(関係)によって使い分ける必要があるので気を付けてください。
一文字や二文字は祝いの挨拶を簡略化した形であるため、敬意や丁寧さに欠けます。そのため、一文字や二文字タイプの賀詞を目上の方に使うのはマナー違反。
一方で四文字や文章タイプの賀詞は、「恭しく」「謹んで」「敬う」など相手への敬意を表す言葉を含むことで、礼儀にかなった敬語の挨拶となります。したがって、目上の相手には四文字の賀詞、もしくは「謹んで~」のような丁寧な挨拶となる文章タイプが適しています。
送る相手(関係) | 賀詞 |
目上の人・ビジネス関係 | 四文字(謹賀新年・恭賀新年など) 謹んで新年(新春)のお慶びを申し上げます など |
目下の人 | 一文字(寿・賀・福など) 二文字(迎春・賀正など) |
友人・親しい間柄 | あけましておめでとう! Happy New Year など |
相手を選ばず使える | 明けましておめでとうございます 新年おめでとうございます 謹んで新年(新春)のお慶びを申し上げます など |
賀詞のNGな使い方
■「新年あけましておめでとうございます」は間違い!
新年”には”明けまして”の意味も含まれているので、「新年明けまして」では”新年が終わる”という意味になってしまいます。
書くときは「明けましておめでとうございます」、もしくは「新年おめでとうございます」と書くようにしましょう。
■一文字・二文字の賀詞は目上の人にはNG
「賀」や「寿」のような一文字、「迎春」や「新春」のような2文字は、上司や目上の人に使用するとマナー違反。
これらの賀詞は簡略化した表現になるため、相手への敬意や丁寧さに欠けているからです。一般的に、上司や目上の人に対しては、文章タイプや四文字タイプが多く見られます。
■賀詞の重複はタブー
「謹賀新年 あけましておめでとうございます」と書くと、「謹賀新年」と「あけましておめでとうございます」という賀詞の重複になってしまいます。
賀詞が重複する使い方はマナー違反です。重複しないようにどちらか一つを使うようにしてください。
■「A Happy New Year」は年賀状の挨拶に相応しくない
実は「A Happy New Year」という書き方は間違い。「A Happy Birthday」と言わないのと同じで「A(a)」は不要です。
クリスマスでよく耳にする『クリスマスキャロル』のサビを思い出してください。
We wish you a merry Christmas
We wish you a merry Christmas
We wish you a merry Christmas And a happy New Year.
ここには「a」が付いていますが、これは 「We wish you」の後に続く文章の一部だから。
「We wish you a merry Christmas And a happy New Year」の意味は「よいクリスマスを、よいお年を」となります。ニュアンス的にも新年というより年越し前なので、新年を祝う年賀状に使う言葉としては相応しくありません。
年賀状には「Happy New Year(新年おめでとう)」と書くのが正解です。
年賀状の書き方:宛名の基本的な構成とマナー
いくら裏書きをしっかり書こうとも、宛名のマナーが守られていなければ台無しです。敬称の使い方や全体のバランスなど、宛名の書き方には十分注意してください。
①宛先の住所
- 郵便番号の右端と揃え、宛名より少し高い位置から書き始めてください。
- 住所は都道府県からしっかり書き、マンション名やビル名も省略せず書きましょう。
- 番地などの「数字」は、縦書きの場合には漢数字、横書きならアラビア数字(1・2・3)を使用します。
②敬称の使い方
- 宛名に付ける敬称は、相手が個人なら関係性にかかわらず「様」を使用します。
- 会社や部署に宛てる場合は「御中」。
- 恩師や医師に対しては「先生」と入れるのが一般的ですが、「様」とする方も増えています。
- 連名の場合はひとまとめにせず、それぞれの名前に「様」を入れましょう。
③差出人の住所
- 差出人の住所は、宛先の情報より小さい文字で書きます。
- 下側の郵便番号の右側に揃えるとバランスがよくなります。
- なるべく差出人の名前と住所の末尾の高さは揃えた方が良いです。
④朱書き
切手の下部分に赤で「年賀」と記したものを「朱書き」と言います。お年玉付き年賀はがきには元から印刷されているのですが、普通のはがきの場合は自分で朱書きする必要があります。
朱書きが無いと普通郵便として扱われてしまい、年内に先方へ配達されてしまうかもしれないので注意してください。年賀はがきと同じ位置に赤いペンで「年賀」と記入するだけです。
ビジネス関係の場合
ビジネス関係で会社の個人に宛てる場合は、氏名の右肩に会社名と部署名、氏名の上に小さく役職名を記載します。
<例>
株式会社 〇〇商事
第二営業部
部長 年賀太郎様
役職名には敬称をつけないのがルールですので、「〇〇部長様」ではなく、「部長 ○○様」となるように記載してください。
また、ビジネス関係の年賀状を出す場合は、基本的に連名を使うのはNG。所属先が同じであったとしても、それぞれ一枚ずつ出すのがマナーです。
しかし、送る対象が同じ部署の人全員の場合は、部署全体に宛てるという方法があります。
<例1:宛先が会社・役所・組織・団体>
株式会社 〇〇商事 御中
<例2:宛先が部署や課>
株式会社 〇〇商事
〇〇部〇〇課 御中
ちなみに、株式会社を(株)というように略して書くのはマナー違反なので気を付けてください。
また、最近は印刷で済ませることも多いようですが、大切な取引先への年賀状は断然手書きがおすすめ。筆ペンで丁寧に書くことによって、先方に良い印象を与えられます。
年賀状を書く際に気を付けたいポイント
年賀状を書く際にやってしまいがちなNGポイントもご紹介しておきます。
年賀状に句読点は不要
文章作成には基本的に必須の「句読点」ですが、実は年賀状に句読点を使うのはNGなんです。
もともと日本は毛筆文化であったことから、句読点をうつ習わしはありませんでした。教育システムが整っていく中で、読み書きをする際に誰でも平等に理解できるようにと、句読点を使用するようになったのです。
句読点は子供のために作られた文章の補助。句読点をつけた文章は、相手を子供扱いしているという考え方もあり、相手によっては失礼にあたるかもしれません。
そのため、挨拶状・表彰状・証書のような正式な文章には句読点は使わないのが基本。年賀状も正式な新年の挨拶状であるため、句読点をうたないようにしましょう。
また、「お祝い事や縁起の良い事は続いた方が良く、区切りをつけるのはよくない」という考えから、句読点を打たないという説もあります。
忌み言葉は年賀状のNGワード
祝いの場にふさわしくない、縁起の悪い言葉のことを「忌み言葉」と言います。祝いの挨拶状である年賀状に使うのもNGなので、うっかり使わないように気を付けてください。
注意して欲しいのは、普段から何気なく使っている言葉が忌み言葉に含まれているケースがあること。
例えば「去年」という漢字。「去」は「去る・別れる・離れる」という離縁を連想させる意味があり、年賀状にはふさわしくありません。去年は避けて「昨年」「旧年中」を使うようにしましょう。
他にも、「失・死・四・病・倒・崩・滅・終・別・消・切・流」など、死や別れ、不幸を連想させる言葉もNGワードに含まれます。
マナーを守って感謝が伝わる年賀状を送ろう
新年を祝う気持ちを伝える年賀状。年々、年賀状を送る人は減っているようですが、それでも2022年は16億4,000万枚もの年賀はがきが発行されています。
年賀状はお正月の楽しみであり、大切なコミュニケーションツールです。なんだかんだ元旦に年賀状が届くのは嬉しいもの。だからこそ新年の挨拶となる年賀状は、心を込めてマナーを守り丁寧に書きたいものです。
毎年何気なく書いているかもしれませんが、意外とマナーやルールがたくさんあります。1年に1度ではうっかり忘れていることもあるかもしれません。間違った書き方をしていないかしっかりチェックしておきましょう。
今後も相手と良好なお付き合いが続くように、マナーを守りつつ温もりを感じる年賀状を送れたらいいですね。
年賀状の関連記事はこちらにまとめてあるのでご参考にしてください