✓どうして「狩り」なの?
✓紅葉の絶景スポットはどこ?
こんな疑問を解消します。
秋の風物詩といえば山野を色鮮やかに染める紅葉。行楽シーズンになると紅葉狩りを楽しむ人たちで各地の紅葉スポットは賑わいを見せます。
ところで、紅葉狩りはどうして「狩る」と言うのでしょうか。狩猟をするわけでも食べるわけでもないのに、狩るという言葉が使われていることに違和感を感じます。
そこでこのページでは、紅葉狩りの意味や由来を解説すると共に、見頃の時期、楽しみ方、全国の絶景スポットといった紅葉情報をご紹介します。
このページの目次
紅葉狩りとは|何するの?もみじ「狩り」の由来は?
紅葉狩り(もみじがり)とは、山野に紅く色づいた紅葉を眺めて楽しむこと。
具体的に現地で何をするのかは人によってさまざま。
紅葉狩りですることの一例
- 散策しながら紅葉を眺める
- 紅葉の写真を撮る
- ピクニックをする
本来の意味の通り紅葉を観賞するのが一般的な楽しみ方。とは言っても、そういう決まりがあるわけではなく、紅葉の中でピクニックや写生を楽しむ方もたくさんいます。
どうして紅葉「狩り」なのか?
気になるのは、どうして紅葉を観賞する娯楽なのに「狩り」という言葉が使われているのか。
秋の紅葉に対して、春の桜を観賞することを「花見」と言います。実は、花見も昔は「桜狩り」と呼ばれていたんです。
狩りの元々の意味は、野生の獣を追いかけて捕えること。それが小動物や野鳥も対象となり、さらに植物や果物を採る行為にも使われるようになり(「ブドウ狩り」や「キノコ狩り」など)、やがて草花を観賞する際にも使われるようになりました。
貴族が紅葉を観賞することを「狩り」と表現した
草花を眺める意味でも使われるようになった理由は、平安時代に獣の狩りをしなくなった貴族が現れたからだと言われています。
平安貴族は自分の足で歩くことを下品だと考えていたそうです。そのため、紅葉を眺めるために歩いて出掛ける行いを、貴族の嗜みである「狩り」と表現を変えて紅葉観賞を行ったとされています。
昔は本当に紅葉を採っていた
もう一つ別の説があります。それは、昔は紅葉を本当に採ってから観賞していたからという説。
現在の紅葉狩りは紅葉を眺めるのが主な目的であり、枝を折る行為はマナー違反とされています。
平安貴族は紅葉スポットに足を運ぶと、紅く色づいたもみじの葉がついた枝を手折りして、手に取ってから眺めていたのだとか。このように、実際に紅葉を狩っていたことから、紅葉狩りと呼ばれるようになったという説もあるのです。
紅葉狩りの時期はいつ?
全国的な紅葉シーズンとされているのは、秋が深まる「10月上旬~11月下旬頃」。ただし、紅葉の見ごろ時期は地域差があり、加えて気候の変化の影響で毎年多少ズレます。
桜の開花を知らせる桜前線と同じように、紅葉の見頃を知らせる「全国紅葉前線」が存在します。紅葉は南から北に開花していく桜とは逆で、おおむね北から南に向かって見頃を迎えるのが特徴です。寒くなるのが早い地方では10月初旬から紅葉を楽しむことができます。
紅葉が始まる目安とされている気温は「最低気温8度」。明け方の気温が8度前後より低くなると、しばらくして葉が色づき始め、約20日~25日後に見頃を迎えます。
山だと高度が高い山頂付近から麓に向かって紅葉が広がっていくため、標高差がある山ならより長い期間紅葉を楽しむことが可能です。
紅葉する木の種類は?
木々が紅く色ずくのは秋ならではの絶景ですが、中にはいつまでも緑色のまま紅葉しない木もあります。どのような木が紅葉するのかを解説します。
紅葉には「紅葉」「黄葉」「褐葉」の3種類あります。
POINT
- 紅葉・・・葉の色が紅く変わること
- 黄葉・・・葉の色が黄色く変わること
- 褐葉・・・葉の色が褐色に変わること
「紅葉(もみじ)」とはこれら葉が色ずく植物の総称。
赤や黄色に紅葉するのは主に「落葉樹」という種類の木です。落葉樹とは秋の末に葉が落ちる木のこと。
紅葉が綺麗な落葉樹の一例
楓、欅(けやき)、銀杏(いちょう)、桜(ソメイヨシノ)、ブナ、ハナミズキ、ナンキンハゼ、ドウダンツツジなど
逆に秋どころか1年を通して葉が落ちず、色も緑色のまま紅葉しない植物を「常緑樹」と呼びます。
紅葉狩りの楽しみ方
「紅葉狩りって何するの?」という方に、紅葉をおもいっきり満喫するための楽しみ方をご紹介します。
紅葉を眺めて楽しむ
紅葉狩りの醍醐味は、やはり秋にしか見られない美しく色づいた紅葉を目で楽しむこと。
ひとくちに紅葉といっても、山や野、渓谷、神社仏閣など場所はさまざま。それぞれに異なる美しさがあり、場所や植物の種類が違えば紅葉の景色もガラリと変わります。
なので、各地に足を運んで紅葉スポット巡りに興じるのもおすすめ。アクティブに動き回るのにも適した涼しい季節です。紅葉と一緒に登山やサイクリングなどレジャーを楽しむのも良さそうです。
紅葉と一緒に飲食を楽しむ
花(紅葉)もいいけど団子も欲しいという方は、紅葉を眺めながらグルメを楽しんでみてはいかがでしょうか。
食欲の秋ともいわれる季節。栗、サンマ、サツマイモ、キノコ、柿など、美味しい旬の食材がたくさん登場します。
春のお花見のように、紅葉を眺めながら秋の味覚を堪能するのも良さそう。ピクニック、バーベキュー、キャンプなどアウトドアグルメを楽しむのもおすすめです。
紅葉で押し葉づくり
目で見るだけが紅葉の楽しみ方ではありません。食欲だけでなく読書の秋でもある季節。拾った落ち葉を本に挟んで「押し葉」にするのも素敵な思い出となります。シーズンが過ぎた後も紅葉を楽しむことが可能です。
ただ、昔の貴族のように紅葉の木を折るのはマナー違反なのでご注意を。
絶景!名所!全国のおすすめ紅葉スポット6選
茶臼岳(栃木)
最初におすすめするのは栃木県の有名な紅葉スポットである那須高原「茶臼岳(ちゃうすだけ)」。
ナナカマドやモミジなど多種多様な紅葉を見ることができます。その美しさは那須で一番とも称されるほどで、まるで絵画のような紅葉風景が広がっていることでも有名。
日本百名山の一つである那須岳の主峰(標高1915m)ですが、山腹から山頂直前の9合目までロープウェイが掛けられています。ハイキングや登山初心者、体力に自信のない方でも登りやすく、頂上からの眺望も抜群。
那須岳の麓には温泉街も広がっているので、登山・ハイキング後は温泉に浸かって疲れた体を癒すのも良さそう。
永観堂禅林寺(京都)
京都にある永観堂「禅林寺」も是非訪れて欲しい有名な紅葉スポットです。
浄土宗西山禅林寺派総本山の寺院で、古来より「秋はもみじの永観堂」とうたわれている名所中の名所。
秋には境内に植えられた約3000本のもみじが紅く染まり、色鮮やかな美しい庭園を観賞できます。また、幻想的な世界を堪能できる期間限定の紅葉ライトアップもおすすめです。
ただ、京都屈指の名所として有名なため、紅葉のピーク時は混雑が予想されます。平日の早朝なら空いてる可能性があるので、紅葉をじっくり楽しみたい方は時間をズラした方がいいかもしれません。
中央アルプス・千畳敷カール(長野)
次は長野県の人気観光スポット、中央アルプス宝剣岳の直下に広がる「千畳敷カール」の紅葉。
紅葉シーズンになるとダケカンバは紅く色づき、ナナカマドは黄金色に染まり、それら紅葉によって千畳敷カールの山肌一面が美しく染まります。晴れた日の青空と紅葉のコントラストも見応えがあり、その景色の美しさは圧巻です。
山頂からの景色はもちろん、千畳敷カールの上には「中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ」が掛かっており、空中散歩しながら紅葉の絶景を楽しめるのも特徴。
また、遊歩道も整備されているので、紅葉と一緒にハイキングも楽しむことができます。
香嵐渓(愛知)
全国に紅葉の名所として親しまれている愛知県豊田市にある渓谷「香嵐渓(こうらんけい)」。
飯盛山(標高254m)から巴川一帯、香積寺境内にかけて、地元住民によって植えられた約4000本のもみじが紅葉の絶景を作り出しています。山と参道のみならず、水面まで紅く染まる景色は絶景の一言。
昼間の紅葉はもちろん素晴らしいのですが、ライトアップされた幻想的な香嵐渓の夜景も人気です。
さらに香積寺の風流な紅葉など、さまざまな紅葉の美を楽しめる名スポットとなっています。
深耶馬溪・一目八景(大分)
九州を代表する紅葉の名所として知られる「深耶馬溪(しんやばけい)・一目八景(ひとめはっけい)」。
国指定の名勝地である耶馬渓。本耶馬溪、深耶馬溪、奥耶馬溪、裏耶馬溪の4つの広大なエリアからなっており、日本最大紅葉名所にも数えられています。
中でも深耶馬渓の一目八景は特に風光明媚と称される絶景スポットです。一目八景はその名の通り、「群猿山」「鳶ノ巣山」「嘯猿山」「夫婦岩」「雄鹿長尾の峰」「烏帽子岩」「仙人岩」「海望嶺」の8つの奇岩が一望できます。
断崖絶壁の岩肌に、色鮮やかな紅葉が連なる様は圧巻。大迫力の崖と美しい紅葉の対比が実に見事です。
寸又峡・夢の吊橋(静岡)
最後に、静岡県でも屈指の景観を誇る「寸又峡」の紅葉をおすすめします。
寸又狭も紅葉の名所として大変人気があります。特に美しいのはエメラルドグリーンの川に掛かった「夢の吊橋」。秋になると紅葉の彩りも加わり、その名の通り夢心地な時間を過ごせます。
エメラルドの川と周囲の山々の紅葉、そして吊橋に鉄道。さまざまなコントラストが他では見られない絶景を生み出しています。
実はこの夢の吊橋は、橋の中央で「恋を祈ると願いが叶う」という伝説があり、恋愛のパワースポットとしても有名です。
美しい紅葉を眺めて目と心を癒そう!
紅葉狩りに「狩り」が使われている訳は、時代の流れとともに狩りの意味が拡大していき、草花を観賞する行為も狩りと言われるようになったから。また、昔の貴族は実際に紅葉を狩って(採って)いたとも言われています。
紅葉は場所によって見頃の期間が長かったり短かったりするのが特徴。各地で見頃を迎える時期もだいぶ異なり、日本全体でみると1~2ヶ月間とかなり長いあいだ紅葉を楽しめます。
秋は比較的過ごしやすい気候なので、お出掛けするにもピッタリな季節。紅葉狩りに足を運んで、秋にしか見られない季節の移ろいをのんびり堪能してみてはいかがでしょうか。