
✓嘘をつくときにルールはある?
✓嘘は午前中だけというのは本当?
このような疑問を解消します。
嘘つきはどろぼうの始まりとも言いますが、4月1日は罪のない嘘なら許されるエイプリルフールです。この日は世界中で様々な嘘が飛び交うユニークな風習。
でも、どうして4月1日は嘘をついても許されるのか、その理由まで知っている人は少ないかもしれません。また、嘘をつくにしても決まったルールがあるのかも気になるところです。
このページでは、エイプリルフールの意味・由来・ルールの解説と、過去に実際あった世界中の人々を驚かせた嘘エピソードをご紹介します。
このページの目次
エイプリルフールとは|意味と由来
エイプリルフールとは、毎年4月1日に行われる嘘をついても良いとされている風習のこと。
エイプリルフールの英語表記は「April Fool」ではなく「April Fool’s Day」が正解。英語の「April Fool」だと”4月1日に騙された人”になってしまいます。
日本語で直訳すると四月馬鹿。漢語表記だと万愚節(ばんぐせつ)。中国では愚人節(ぐじんふし)。フランスではPoisson d’avril(プワソン・ダヴリル:4月の魚)と呼ばれています。
エイプリールの由来は諸説ある
世界中で知られているメジャーな風習なのですが、エイプリールの由来は諸説あります。各国にさまざまな説があり、どの説も確証には至っていません。何が正しいのかは未だに不明のまま。
それを踏まえた上で、数ある説の中で有力視されている説をいくつかご紹介します。
フランスで起こった国王への抗議説
最も有力なのはフランスを起源とする説。
かつてのフランスは3月25日に新年を迎え、4月1日まで新年を祝っていました。しかし、16世紀のフランス国王シャルル9世がグレゴリオ暦を採用(1月1日を新年とする現代一般的に用いられている暦)。
すると、暦の変更に怒った民衆が4月1日を「嘘の新年」とし、抗議のお祭りを盛大に開催しました。そのことにシャルル9世は腹を立て、嘘の新年をお祝いした人々を処刑したのです。
この悲劇を忘れないためにその後も嘘の新年を祝い続け、時を経てエイプリルフールと呼ばれるようなったという説。
インドの修行僧説
インドの修行僧は、春分の日から3月末まで悟りを開く過酷な修行を行い、4月1日から普段の生活に戻ります。
せっかく修行して悟りを開いたのに、4月1日になると修行が嘘だったかのように俗人に戻ってしまうことから、人々は面白がって4月1日を「揶揄節」と呼びからかったそうです。
この揶揄節が西洋に伝わってエイプリルフールが生まれたという説。
ノアの箱舟説
旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」を由来とする説も存在します。
ノアの箱舟とは、大洪水の予言を受けたノアが巨大船を建造し、大洪水から生き延びたという有名な物語。その中で、ノアは陸地を探すためにハトを放つのですが、ハトは手ぶらで4月1日に戻って来たと記されています。
無駄足で意味のない日であったことから、「無駄なことをする日=嘘をついてもいい日(エイプリルフール)」になったという説。
キリストの命日説
4月1日はイエス・キリストの命日であるという説があります。
キリストを裏切ったユダは「裏切り者」「嘘つき」の代名詞。ユダの「裏切り(嘘)」を忘れないように、キリストの弟子たちが作ったとする説。
4月の魚説
フランスではエイプリルフールのことを、「le poisson d’avril (ル・プワソン・ダヴリル」と呼びます。プワソンが「魚」でダヴリルが「4月」という意味。日本語に訳すと「4月の魚」となります。
この魚というのは”サバ”のことで、ちょうど4月頃はサバが大量に釣れる時期。サバは簡単に釣れることから「バカな魚」と呼ばれています。
そのため、4月1日にサバを食べさせられたり嘘で騙される人は、「プワソン・ダブリル」と呼ばれてからかわれるようになったそうです
また、フランスには魚の絵を描いた紙をこっそり背中に張って遊んだり、魚をモチーフにしたスイーツを食べる習慣があります。
日本ではいつから始まったの?
日本にエイプリルフールが伝わったのは大正時代と言われています。もともと日本では4月1日を「不義理の日」としていました。
不義理の日とは、「不義理を働いている人=なかなか会えず義理を欠いている相手」に対して、手紙を書いて近況を報告したり、ご無沙汰を詫びるための日。
エイプリルフールが日本で浸透したことによって、江戸時代から続いていた不義理の日の風習は廃れていくことになります。
当初は日本でも、4月1日には欧米のようなフェイクニュースの記事がたくさん流れていたそうです。しかし、これが不評だったことであまり流行ることはありませんでした。
それが近年になって、若者を中心にSNSでジョークや嘘の情報が出回るようになり、エイプリルフールが再注目されています。
エイプリルフールにルールってあるの?
エイプリルフールは成り立ちが曖昧なだけではなく、実はルールも明確な決まりはありません。それでも、嘘をつくにあたって最低限守るべきと言われている暗黙のルールはあるので見ていきましょう。
POINT
- 人を傷つけたり中傷する嘘はダメ
- 縁起の悪い嘘はダメ
- 騙されても笑って許す
- 笑って許される嘘をつく
”嘘をついてみんなで笑おう”というのが世界の共通認識なので、笑えないどころか誰かを傷つけたり悲しませる嘘は好ましくありません。逆にどんな嘘が喜ばれるのかと言うと、例えば「笑える嘘」「びっくりするだけの嘘」「自虐をふまえた嘘」など。
「嘘をついてもいいのは午前中だけ」というルールは本当?
よく聞くエイプリルフールのルールといえばこちら。
- 嘘をついてもいいのは4月1日の午前中だけ
- 午後には自分がついた嘘をバラす
このルールは世界共通として広く知られており、近年日本でもよく聞くようになりました。
午前中ルールにも諸説あるのですが、有力なのはイギリスを発祥とする説。
イギリスには「オークアップルデー(Oak Apple Day)」という、1660年に始まった王政復古の記念日が5月29日にあります。この日は国王への忠誠の証として、午前中だけオークの実(樫の実)を身に着けたのだとか。その慣わしがエイプリルフールにも使われるようになり、イギリスから世界に広まったと言われています。
とは言っても、これが正式なルールというわけではありません。イギリスのように午前中だけの国もあれば、1日中嘘をついても良いとしている国もあったりとさまざま。
世界を驚かせたエイプリルフールネタ7選
日本と比べて、海外(主に欧米)のエイプリルフールの嘘はスケールが段違いです。新聞やテレビなど、大手メディアや国営放送までもが公然とフェイクニュースを発表しており、世界中の人たちを驚かせています。最後に、エイプリルフールで実際にあった世界各地の驚愕ジョークをいくつかご紹介します。
ビッグベンの時計がデジタル化
ビッグベンとは、テムズ川河畔にあるウェストミンスター宮殿の一角に建てられた大時計台のこと。イギリスの象徴的な建造物です。
イギリスの国営放送BBCが1980年及び2008年に、「ビッグベンの時計がアナログからデジタルに変更する」というネタをニュースで放送しました。
さらに、不要になった時計の針は、先着順で希望者にプレゼントすることも併せて発表。すると、騙されて応募する人が出てきたのですが、なんと真っ先に応募してきたのは日本人だったようです。
イギリスのBBCが空飛ぶペンギンを発見
こちらもBBCのフェイクニュース。2008年に「空飛ぶペンギンを発見!!」というニュースを放送しています。ドキュメンタリー制作チームが、南極で空飛ぶペンギンの撮影に成功したというネタ。
しかも、わざわざペンギンが空を飛ぶ映像を3DCGで制作しており、実際にニュース番組で映像を放送しています。
すぐにフェイクニュースだと気づく人が多かった一方で、騙された人もそれなりにいたようです。放送後は問い合わせが殺到したとのだとか。映像のクオイリティの高さから大きな話題となりました。
スイスの農家でスパゲティが大豊作
毎年4月1日にHoax(でっちあげ)発信するBBCにおいて、いまや伝説とされているエイプリルフールジョークがこちら。
1957年に、「スイスの農家でスパゲティが木から収穫できる」という3分間ほどのレポートを放送。スパゲティを食い荒らす害虫の駆除に成功したことで、今年はスパゲティが豊作というデマ。「自家栽培のスパゲティに勝るものはありません」という真面目なナレーションも付いていたそうです。
馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれませんが、このニュースを信じた人が続出。スパゲティを木に吊るした映像を見た人が、栽培方法を問い合わせる電話が殺到したそうです。
ストッキングを使えば白黒テレビをカラーで視聴できる
まだテレビが白黒放送だった1962年、スウェーデンのテレビ番組で「家庭の白黒テレビをカラーで視聴できる方法を発見した!」と報道されました。ストッキングのような網目のあるものを白黒テレビにかぶせるとカラーになるというジョーク。
技術者が真面目に解説したことから、多くの国民がこぞってこの方法を試したそうです。でも、当然そんな方法で白黒がカラーに変わることはなく、この1日だけで大量のストッキングが無駄になるという悲劇が起きました。
地球の重力が軽くなる
1976年にイギリスの著名な天文学者パトリック・ムーア氏によって、「木星・
ムーア氏がラジオ番組に出演し、「冥王星が木星の後ろを通過し、地球上の重力が減少する」と述べたのです。さらに同氏は、リスナーに向けて「その瞬間にジャンプすれば少しだけ浮遊感を味わうことができる」と発表。
すると、面白いことに「宙に浮いた!」「浮遊感を感じた!」という報告が多数寄せられたそうです。
地方競馬でシマウマがレースに登場
日本のエイプリルフールといえば東京新聞。2007年4月1日付けの新聞に「シマウマ出走秒読み」という記事を掲載しました。これは、シマウマが地方競馬に出走するというジョーク。赤字続きで低迷する地方競馬を救うため、起死回生の一手としてシマウマレースを導入するという話。
東京新聞はこの他にも、「白黒逆パンダ発見」といった面白いジョークを4月1日に報じています。
骨だけケンタッキーを販売
最近だと、ケンタッキーフライドチキンが期間限定で骨だけを販売すると発表して話題になりました。ケンタッキー公式ツイッターで「待望の新発売!骨だけケンタッキー」というツイートが投稿されえています。
さらに、「お肉はスタッフが美味しくいただきました」「鍋にラーメンに使い方はいろいろ」というコメント付き。
期間は4月1日限定で、価格はオリジナルチキンと同じ1ピース250円、1バーレル1500円設定でした。
みんなが笑い合える嘘でエイプリルフールを楽しもう
世界中でウソが飛び交うエイプリルフール。最近では日本でもSNSを中心に、面白いジョークを投稿して楽しんでいる人をよく見掛けるようになりました。嘘企画を発表する企業もあったりと、毎年何かしらの嘘で盛り上がっています。
だからといって、どんな嘘をついてもいいわけではありません。明確なルールこそなくても、最低限以下のポイントは守りたいものです。
- 人を傷つける嘘や悲しませる嘘はNG
- 縁起の悪い嘘はつかない
- 笑って許される嘘をつく
嘘をつくにしても、みんなを驚かせつつ、楽しく笑い合える嘘をつけたらいいですね。楽しい嘘でエイプリルフールをハッピーな1日にしてください。
あと、嘘をつかれた人はなるべく怒らず笑って許してあげましょう。