
✓花祭りはいつ?
✓どうしてお釈迦様に甘茶をかけるの?
花祭りの疑問を解消します。
仏教徒が多い日本では、お正月、お彼岸、お盆など、さまざまな仏教の行事が年中を通して執り行なわれています。その中に「花祭り」という仏教行事があることをご存知でしょうか?
キリスト教における「クリスマス」にあたる行事なのですが、一般的にはあまり知られていませんよね。聞いたことはあっても意味までは知らない人も多いでしょう。
このページでは、花祭りの意味と由来、甘茶をお釈迦様にかける理由などについてご紹介します。
花祭りの意味や由来は?
花祭りとは
仏教の開祖である”お釈迦様の誕生日”をお祝いする仏教行事
お釈迦様とは、”ブッダ”の呼称で有名な「ゴータマ・シッダールタ」という現存した人物のことで、この世で始めて悟りの境地に至った仏教の開祖。
世界の四聖の一人(他:キリスト、ソクラテス、孔子)でもあります。
花祭りとは、そんな仏教の教えを広め、悟りを開いて仏様となられたお釈迦様の誕生日をお祝いするために催される行事。
”仏教のクリスマス”とも言われており、イエス・キリストの誕生を祝う「クリスマス」と同じ意味を持つ仏教行事です。
花祭りの由来
「花まつり」と呼ばれるようになったのは明治以降で、正式名称は「灌仏会(かんぶつえ)」。
他にも、「降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)、龍華会(りゅうげえ)、花会式(はなえしき)」の別名があります。
インド西域では古くから行われており、それが中国を経由して7世紀頃に日本に伝わってきたと言われています。
その後、平安時代にお寺の年中行事となり、江戸時代に庶民へと広がっていきました。
「灌仏会」という言葉が日本で見られるようになったのは840年の平安時代から。
内容も現代とは異なり、 当時は僧侶が磬(けい)という楽器を鳴らし、5種類の香水を混ぜた五色水を仏像に注ぎかけていました。
現在のように花をあしらった仏像に甘茶を注ぎかけるようになったのも、庶民に浸透しはじめたのも江戸時代の中頃になってから。
「花祭り」と言われるようになったのは明治時代の浄土宗からです。
以降はどの宗派でも一般的にも「花祭り」の呼称が使われることが一番増えました。
「花祭り」と呼ばれるようになったのは、釈迦(ゴータマ・シッダールタ)が誕生したルンビニ園が美しい花が咲き誇る花園だったと言われているから。
そのため、釈迦の誕生日にたくさんのお花を仏像に飾るようになり、呼び方も花祭りへと変わっていったのです。
花祭りはいつ?
花祭りは毎年【4月8日】に行われます。
つまり、お釈迦様の誕生日も4月8日!
・・・ということになるはずなのですが、実際のところは釈迦が何年何月何日に生まれたのかは諸説あり、まだ確定されていません。
生年月日には諸説あり、しかもその範囲は紀元前11世紀から紀元前4世紀とかなり広く、
日本では仏典『太子瑞応本起経』『仏所行讃』にある記述にしたがって4月8日としています。
「旧暦の4月8日が正しい」という考えもありますが、そもそも何の暦を使用していたのかすら定かではないので、新暦か旧暦かを問題にしても意味を成さないかもしれません。
結局のところ、お釈迦様の誕生を祝うことが大事なので、誕生の伝説を忘れなければ新暦でも旧暦でも良いと考えます。
花祭りに甘茶をかける理由
花祭り(灌仏会)では、お花で飾られたお堂(花御堂)に誕生仏の像を安置し、柄杓で像の頭から「甘茶」を注ぎかけるという特殊な儀式があります。
※誕生仏(たんじょうぶつ)とは、釈迦が誕生後すぐに七歩歩み、右手で天を指し、左手で大地を指し、「天上天下唯我独尊」と唱えたという姿をかたどった彫像。
「なんで甘茶?」「なんでかけるの?」と疑問を持った方も多いはず。
甘茶をかける理由は、『釈迦の誕生時、天に9匹の龍が現れ、甘露の雨を降り注いで産湯を満たした』という伝承に基づいたもの。
甘露とは、苦悩を取り除き、長寿を与え、死者をも復活させるという天人の飲み物。甘茶をかけるのは、天の祝福である甘露の雨が釈迦に降り注いだ様子を模しています。
そのため、寺院では甘茶を振舞うことも多く、甘茶を飲むと無病息災になる、目につけると目がよくなると言われてきました。
また、甘茶で摺った墨で「千早振る卯月八日は吉日よ 神下げ虫を成敗ぞする」と書いた紙を門口や柱の逆さまに貼ると、害虫除けになるというおまじないもあります。
花祭りでは何をするの?
花祭りでは、寺院や地域で開催される法要やイベントに参加するのが一般的。
「お釈迦様の誕生日をお祝いする仏教行事」と聞くと、少し身構えてしまうかもしれませんが、厳格な作法はないので堅苦しく考えず気軽に参加してください。
寺院を参拝する際の基本的な作法さえ気を付ければ大丈夫。
花祭りは全国各地の寺院や地域で開催されています。大抵は申し込みなどは必要ないので、誰でも自由に参加できますよ。心配なら事前に直接問い合わせてみるといいでしょう。
また、寺院や地域の法要・イベントに参加する以外にも、自宅で甘茶を飲んだり、春の花を飾るなど楽しみ方もいろいろあります。
それぞれのやり方でお釈迦さまの誕生をお祝いし、この祝福すべき日を楽しんでください。
花祭りに参加してお釈迦様の誕生をお祝いしよう
花祭りは仏教の三大行事でありながら、同じような意味を持つクリスマスに比べると知名度はあまり高くありません。
しかし、この日(4月8日)は仏教の開祖であるお釈迦様の誕生日とされている特別な日。花祭りの法要に参加したり、地域のイベントに参加してみてはいかがでしょうか?
また、この時期は桜をはじめ日本中で綺麗な花々が咲き誇る華やかな季節です。自宅に春のお花を飾って、独自でお釈迦様の誕生日をお祝いするのもいいかもしれませんね。