こんにちはワチイツキです。
今回みなさんに紹介したい漫画は、戦国武将の中でも高い人気を誇る上杉謙信が主人公の『雪花の虎』。
この作品が面白いのは、
他の歴史漫画とは違い、ある意味真逆の上杉謙信を見られるところ。
それもそのはず、近作品での上杉謙信はなんと”女性”!
と言っても、萌えを意識した女性化ではない。根強く囁かれている”上杉謙信女性説”をもとに結構真面目に作られている作品となっております。
それでは、『雪花の虎』の魅力をご紹介します。もし興味が湧いた方はぜひ読んでみてください。
このページの目次
基本情報
- タイトル:雪花の虎(ゆきはなのとら)
- 著者:東村アキコ
- 出 版 社:小学館
- レーベル:ビッグコミックススペシャル
- 掲 載 誌:ヒバナ / ビッグコミックスピリッツ
- 連載状況:連載中
- ジャンル:歴史・時代、ヒューマンドラマ
あらすじ・概要
戦国の世を、義を貫いて駆け抜けた軍神・上杉謙信。毘沙門天の化身とされる名将中の名将は、実は、女だった――― 時は享禄二年、1529年。越後の春日山城城主・長尾為景の第3子が誕生する。不甲斐ない嫡男・晴景に代わる後継ぎとして期待された赤子は、しかし女児だった。失望する為景だったが、すぐに決意を新たにする。「この子を、姫武将として育てる」「名を虎千代とする」と―― 強い父、やさしい母、穏やかな兄、健気な姉に囲まれ、小さな山城でお転婆に育つ虎千代。その双肩に背負う運命の重さを、未だ知るよしもなく……。東村アキコが挑む本格大河ロマン、越後の虎、女・上杉謙信の一代記がいま、始まる!!
(引用:ebookjapan)
もう少し詳しく――
戦国の乱世にあって「義」を貫き、越後の虎とも龍とも呼ばれ、数多の武将が畏怖した戦国最強とも称される軍神「上杉謙信」。
かの名将には、現代にも残る逸話、伝説、俗説の中に、「実は女性だったのでは?」という説がある――。
時は戦国、享禄3年の越後・春日山城にて、この地を治める長尾家当主「長尾為景」の元に、春景、綾に次ぐ第3子が誕生しました。
体が弱く、大将の器には程遠い兄に代わり、毘沙門天の化身として長尾家跡取りとして期待された赤子は、たいそう美しい玉のような女子だったよう。
女子であったことに肩を落とす為景だったが、毘沙門天の生まれ変わりであることには変わりないとし、武道・学問を叩き込んで「姫武将として育てる」と宣言。
そして、名は虎千代とされました。
春日山を遊び場としてのびのび育ち、体の成長と共に天才の片鱗を見せるようになった後の上杉謙信である虎千代。
過酷な運命を背負いながら激動の乱世を駆け抜けていく。
【雪花の虎】の魅力・面白いポイント
甲斐の武田信玄を宿敵とし、尾張の織田信長は畏怖した戦国最強の軍神・上杉謙信が、俗説の中に残る女性だったという仮説をもとに、女子として生まれ、男として戦国を駆け抜けた生涯を描いた物語。
小説家「八切止夫」さんが提唱した上杉謙信が女性だったという説に本気で挑んだ大河ロマン。
- 戦国武将「上杉謙信」がまさかの女性化!?
- ”上杉謙信女性説”に本気で挑んだ斬新ストーリー
- 歴史に疎くても大丈夫!読みやすい・分かりやすい構成
それでは、ひとつずつ魅力を語らせていただきます。
戦国武将「上杉謙信」がまさかの女性化!?
今作『雪花の虎』の主人公は、誰もがその名を知る戦国を代表する武将『上杉謙信』。
甲斐の虎「武田信玄」の好敵手であり、あの第六天魔王「織田信長」でさえ恐れたほどの人物です。
「戦国最強は誰か?」と話題になれば、確実に名前が挙がってくるほどの戦上手。
同時に内政手腕にも長け、現代でも高い人気を誇る戦国スター。
そんな謙信ですが、子孫を残すことは武士の務めのひとつとされていた時代でありながら、妻を娶ったことや子を成したという記述がなく、景勝(かげかつ)をはじめとした子供たちも皆養子だったという話。
そんなこんなで謙信は――
「禁欲主義者だったのでは?」「男色家だったのでは?」
など数々の逸話が生まれ、
その中には「実は女性だった」という説まで浮上。
そこに目を付けたのが、戦国時代の知識は『信長の野望』だけしかないとぶっちゃけた漫画家「東村アキコ」先生。
この女性説を面白いと思い、wikiで調べたり新潟の上越市で現地取材を行っている内に、ホントに女性だったんじゃないかと思うようになったそうです。
さすがに上杉謙信が女性だったというのは荒唐無稽が過ぎるとも思いましたが、「あるかも」と思わされるほど真実味があり、そして面白い。
単純に、このような考え方も結構好きですね。
”上杉謙信女性説”に本気で挑んだ斬新なストーリー
最たる魅力は何と言っても、上杉謙信を女性として描いた斬新なストーリーですね。
戦国武将を女性化した作品は数多くあります。
しかし、そんな巷に溢れかえっている萌えを意識した女性化作品とは異なり、意外と真面目に上杉謙信女性説を描いている作品です。
女性説の根拠とされているのも
- 生涯独身であったこと
- 婦人病とされる「大虫」が死因だったこと
- 当時女性城主が珍しくなかったこと
- 越後のごぜ唄の歌詞がまさに女性だったこと
など、読んでいるとなんだか本当にこの説が正しいのではないかと思ってきます
また、女性化していることで上杉謙信という人物の見方が変わってくるのも特徴。
女性ならではの身体的な問題、女性なのに女性のふりをする話、女の姿を敵の大将に見られるなど、巧みに謙信が女性という要素をストーリーに絡ませていて面白い。
当初はお転婆娘だった虎千代も、年を重ねるごとに見目麗しい男装の麗人へと成長し、戦場でも華麗に立ち回るようになります。
宝塚好きな人とかも結構楽しめる漫画なのかもしれませんね。
歴史に疎くても大丈夫!読みやすい・分かりやすい構成
「歴史よく分からない自分が読んでも・・・」と思った方も大丈夫です。
そもそも作者の東村アキコ先生自信が歴史に疎い方。
なので、難解になりがちな歴史モノでありながら非常に読みやすくて、日本史がグっと身近に感じられます。
もちろん歴史や上杉謙信に興味のない人には小難しい解説もありますが、そのあたりのケアがぱっちりなところに好感を持てます。
作中には「アキコのティータイム」という歴史を解説しているワープゾーンが完備されています。続きのストーリーを読み進めるにあたり、支障がない程度には軽いノリで史実を教えてもらえます。
この解説の描き方がこれまた斬新なんです。
ページの半分は歴史好きな人のために真面目な解説を載せ、
もう半分には歴史が苦手な人のためにかなりルーズなノリで冗談を絡めて解説するという二段構えの手法。
歴史好きの人、歴史に疎い人、どちらにも分かりやすい解説となっております。後者の方が笑えますね。
どちらか片方読むだけでおおよその流れは理解できるのですが、僕の場合は両方読んで楽しんでいました。
まとめ
というわけで、上杉謙信女性説を題材とした歴史漫画『雪花の虎』を紹介させていただきました。
個人的にはメッチャクチャ面白いと感じた作品。
なにより上杉謙信が女性として設定を真面目に描き出しているところが面白い。
従来の上杉謙信と変わらぬ魅力を放っていながら、それとはまた違った魅力も同時に滲ませています。こんな謙信もアリだなと思わせるだけの面白さがありますね。
こんな方におすすめ
- 歴史・時代モノが好き
- 戦国武将「上杉謙信」が好き
- 上杉謙信女性説に興味がある
- 歴史が苦手でも楽しんで読める歴史漫画を探してる
- 東村アキコ先生の作品を読みたい
歴史好きはもちろん、歴史が苦手な人にもってこいの作品ではないかと。
歴史モノであっても東村アキコらしさは健在で、ギャグも踏まえた話はとても読みやすく、ここぞという場面ではうっとりするほどの美しい描写で魅了してきます。
歴史が好きな人もそうでない人も、性別も年齢も関係なく、多くの人が楽しめる内容になっていると思います。
もし興味が少しでも出てきたという人がおりましたら、是非読んでみてください。おすすめです