マンガ

森薫さんの【エマ】漫画の魅力!歴史ロマンスであると同時に至高のメイド作品でした

エマの漫画感想・魅力ポイントを紹介

こんにちは、ワチイツキです。

本日は漫画家・森薫さんの代表作『エマ』の紹介をさせていただきます。

少し古い作品ではありますが、身分違いの恋を丁寧に描いた歴史ロマンスで、恋愛と共にメイドモノとしても人気を博した面白い漫画。

ここで描かれているのは萌えに染まったコスプレメイドではなく、正統派の英国メイド。個人的には最高のメイド漫画だと思っています。

それではさっそく、『エマ』の魅力ポイントを軽めに語っていこうと思います。興味を抱いてもらえたなら是非読んでみてください。

 

基本情報

  • タイトル:エマ
  • 著者:森薫
  • 出版社:エンターブレイン
  • レーベル:ビームコミックス
  • 掲載誌:コミックビーム
  • 連載状況:完結済み
  • ジャンル:歴史、ロマンス、メイド

あらすじ・概要

貴族ウィリアム・ジョーンズはかつての家庭教師、ケリー・ストウナーを久方ぶりに訪ねた。そこで眼鏡をかけた聡明なメイド、エマと出会い、徐々にふたりは惹かれ合う……ヴィクトリア朝の英国ロンドンを舞台に、伝統と革新のブリティッシュロマンスが始まる!

(引用:ebookjapan)

もう少し詳しく。

19世紀後半のイギリス――。

産業革命により急激な変革がもたらされながらも、依然として根強く残る古い習慣や階級社会によって身分が分かたれていた時代。

上流階級出身の貿易商ジョーンズ家の長男「ウィリアム」は、幼い頃に家庭教師として世話になったケリー婦人宅を訪れます。

彼女の家でメイドとして働く「エマ」と出会ったウィリアムは、控えめで美しい彼女に一目惚れしてしまう。

エマも彼の紳士的なアプローチを受け次第に惹かれていき、いつしか互いを想い合う仲になっていました。

しかし、惹かれ合う2人の前には、身分の差という社会の大きな壁が立ちふさがることに・・・。

階級社会、親の反対、婚約者、別れ……あまりに大きな困難を前にしながら、果たして2人の行く道が重なり合うことはあるのだろうか。

 

【エマ(漫画)】の魅力

身分差がありながら恋に落ちたメイドと上流階級の青年が、階級というあまりに大きな障害に苦悩し、ときに引き離されながらも、より強く惹かれ合っていく恋の物語。

身分違いでありながら深く愛し合う2人を描いた歴史ロマンス。

この作品の魅力をいくつか挙げるとするなら―

ポイント

  • 伝説級の女ドルオタ「えりぴよ」の生き様
  • 身分を超えた愛の行方
  • これぞ正統派!クラシックメイドの魅力

それでは、ひとつずつ魅力を語らせていただきます。

若干だけどネタベレ含んでいるのでご注意を。

 

時代考証に裏付けられたヴィクトリア朝時代の英国

この作品が非凡なのは、何よりもまず世界観という土台がしっかり固められていたことにあると思います。

他の歴史漫画と比べても半端なく緻密。生きた社会を描いてるからキャラクターの息遣いまでリアルに感じられます。

世界観が確立してるため、例えかの時代に精通してなくてもリアルなヴィクトリア朝の雰囲気に浸れるのは確かな魅力。

『エマ』の舞台となるのは、19世紀末ヴィクトリア朝時代の英国。文化・技術の発展により国は栄え、世界各地に植民地を有し、上流階級でなくともそれなりに生活が安定していた時代です。

また、上流階級・中流階級・労働者階級という身分の差がはっきり線引きされていた階級社会でもありました。

しかし、上流貴族の中にも裕福とはほど遠い貧しい家があるように、貴族でなくてもジョーンズ家のように商売で富を築いた者が、末端とはいえ上流階級に名を連ね始めた時代でもあります。

この時代背景を元にした当時の職業的なメイドをリアルに描いてるところが素晴らしい。仕事に従事する姿、メイドや執事のいる上流階級の生活風景、そして使用人たちの日常までも覗くことができます。

この作品は「日常系漫画」と言っても差し支えないと思ってます。メイドの姿だけでなく、当時の上流から一般に至る各階級の生活風景や風俗も丁寧に描かれており、事前に行われたであろう時代考証の緻密さが伺えますね。

 

身分を超えた愛の行方

※2人の結末に少しだけ触れてるのでご注意ください。

この物語のテーマであろう「身分や立場を越えた愛」。

これ自体に真新しさは特になく、はっきり言って使い古されたテーマではあります。それゆえ、シンプルでわかりやすく、ストーリーも淡々と静かに進んでいきます。

階級社会にも触れるけど政治色は限りなくゼロで、その社会で生きる主人公2人の『愛や恋愛』を純粋に描いている物語。

なので、結末はなんだかんだで1巻時点から「こうなるんだろうな」という予想は普通に立てられます。その通り、結末自体には秀逸なひねりや奇抜さがあるわけでもないです。

ですが、そこに到るまでの展開や描写は飽きさせない見事な構成。

主人公2人に幾度も降りかかる障害、相手を想うことに苦悩する姿、数々の困難を乗り越えて再び手を取り合う姿など、分かってはいても感動に導かれてしまう演出は素晴しい。

ただし、エレノア嬢が不憫過ぎ・・・。これに関してはウィリアムにその辺に転がってる物を投げてぶつけてやりたい気持ちになります。

はっきり言って、エマもウィリアムも物語を通してあんまり成長はしません。誰かを傷つけながら結ばれる結果にもなったわけですが、そのことから目を背けず覚悟も決めていたところは非常に良かったです。

もっとも、大変なのは結ばれてからなんですが、そこに関しては想像するしかありません。不満があるとしたらこの辺りですね。

社交界での立場は大なり小なり厳しいものになるでしょう。ただ、時代的には様々なことが変化する時代。貴族の力は弱まり始め、庶民の中にも台頭してくる者が次々現れてくる時代ですから。2人の愛の強さと時代の流れがこの先の未来を照らしてくれることを願っています。

 

正統派メイドの魅力を刻み込まれる

冒頭でも述べた通り、このエマの作品で描かれるメイドは、日本の萌え化したコスプレメイドではなく、クラシックな正統派メイド。

そもそも、原作者である女性漫画家・森薫さんがその筋では名の知れたメイドをこよなく愛する者なんですね。

それゆえ、メイド描写に一切の抜かりがありません。もちろん誇張が全くないとは言いませんが、ヴィクトリア時代の英国で働くメイドのリアルな姿を堪能することができます。

ミニスカートやら猫耳つけたメイドなんて出てきませんからね。その系統も嫌いじゃないですけど。オタク系メイドをお求めなら別のメイド漫画を読んだ方がいいです。

ハウスメイドであるエマの衣装もクラシックでとても良い雰囲気。メイドといっても一括りにはできず、その中でも大きな屋敷で働く場合はいろんな役職やら働き方があるということを知れました。

やっぱり、"大英帝国時代のメイド"というのが良いんでしょうね。ここでも世界観の重要性を感じられました。

また、本筋となる身分違いの愛だけでなく、エマを含んだメイドたち使用人の日常についても丁寧に描いていたところに好感を持てます。

メイドのリアルな働きぶりや雇用形態、仕事から外れた日常までしっかり描いてる作品はあんまりないので、そういった意味でも出会えてよかったと思える作品。

作者先生のメイド愛を熱波で浴び続けた気分です。

 

まとめ

素晴らしいメイド漫画であり、歴史ロマンスであり、当時の生活感をリアルに伝えてくれる素晴らしい作品でもありました。

華やかな貴族にだけスポットを当てるのではなく、中流層・労働者層の生活まで覗くことができ、脇役をメインに添えるエピソードも描いた読み応えある内容です。

エマとウィリアムだけでなく、本当に脇役が光る作品だったなと改めて思います。

こんな方におすすめ

  • ヴィクトリア時代の歴史モノを読みたい人
  • メイドさんをこよなく愛する人
  • 身分差の恋愛が好きな人
  • 絵が綺麗な作品を鑑賞したい人
  • 世界観が確立されてる作品が好きな人

ストーリーや表紙・作中の絵からは、森薫さんの作品への強いこだわりとメイドへの愛情を強く感じることできました。欲を言えばエマとウィリアムのその後を見たかったなという思いは激しくあります。

奇抜さはなくても全体的にはクオリティが高い正統派の歴史ロマンス作品。そして至高のメイド漫画。とても面白かったです。

今更感はありますけど強くおすすめします。

-マンガ
-

© 2024 暮らし道標 Powered by AFFINGER5