✓日本のクリスマスはいつから始まった?
✓サンタクロースって何者?
こんな疑問を解消します。
国民的イベントとして年齢に関係なく楽しまれているクリスマス。子供はケーキやサンタさんからのプレゼントに胸躍らせ、恋人たちは大切な人とロマンチックな一夜を過ごしたりします。
でも、知らない人はいないイベントであっても、意味や由来、日本ではいつ始まったのかまで知っている人は少ないかもしれません。子供に質問されたら分かりやすく教えてあげたいですよね。
このページでは、クリスマスの本当の意味、起源、サンタクロースの正体など、クリスマスにまつわる基礎知識をご紹介します。
このページの目次
クリスマスの本当の意味と語源
クリスマスはご存知の通り12月25日に行われる冬のイベント。
クリスマスとは、イエス・キリストの誕生をお祝いするお祭りのこと
語源はラテン語の「クリストゥス・ミサ」の略で、「キリストのミサ」という意味。
クリスマスは英語で「Christmas」。これは「Christ」と「mass」が合わさったもの。「Christ=イエス・キリスト」を意味し、「massはミサ」というキリスト教における礼拝を表しています。したがって、クリスマスは「イエス・キリストの降誕祭」という意味になるわけです。
ちなみに、クリスマスは「Xmas」と表記されることもあります。この「X」はギリシャ語の「Xristos(キリスト)」の頭文字なので意味は同じです。ちなみに、たまに見掛ける「X’mas」という書き方は間違いなのでご注意を。
12月25日はキリストの誕生日ではない!?
クリスマスの12月25日はキリストの誕生日だと思われがちですよね。でも、キリスト教におけるクリスマスは、「キリストの”誕生日”を祝う日」ではなく、正しくは「キリストの”誕生”を祝う日」とされています。
実はキリストの誕生日は聖書にすら記述はありません。当時ユダヤの法律では誕生日を記録していなかったのだとか。そのため、イエス・キリストの誕生日は未だに不明です。
クリスマスの起源と由来
クリスマスが始まった正確な年代は定かではありません。しかし、12月25日がキリストの生誕祭になったのは紀元2世紀~4世紀頃というのが有力。
諸説あるクリスマスの起源のなかで、「ユール」と「ミトラ」についてご紹介します。
ゲルマン人の冬至祭り「ユール」
クリスマスの起源となったのは、ゲルマン人が行っていた「ユール」という冬至のお祭りだと考えられています。
冬至とは
12月22日前後の一年のうちでもっとも日が短くなる日。世界各国で季節の節目として祭りが行われたり、祭日となっています。
現在でも北欧ではクリスマスのことを「ユール」と呼んでいるそうです。
キリスト教を布教していた宣教師たちの主な任務は異教徒の改宗。彼等は異教の神を悪魔と断じていた一方で、異教の祭りは破壊せずにキリスト教の祭りとして取り込んでいました。これは改宗を円滑に進めるため。
後にハロウィンとなるケルト人のサウィン祭と同じように、ユールとキリスト教が交じり合ったことでクリスマスが誕生したのです。
キリスト教のライバル「ミトラ教」の冬至祭り
キリスト教が勢力を拡大していた古代ローマ帝国時代。当時ローマには、キリスト教としのぎを削っていた宗教「ミトラ教」が存在していました。太陽崇拝であったミトラ教が崇拝していたのは”太陽神ミトラス”。
ミトラ教では、冬至に太陽神ミトラスが力を取り戻して地上に生まれ変わると信じられており、冬至を祝う祭りが行われていました。冬至はこの頃の暦に置き換えると12月25日となります。
キリスト教も負けじと12月25日にキリストの誕生を祝うミサを開始。さらに、キリストの誕生日は定かでなかったにも関わらず、325年に開かれた“教会会議”において、12月25日をキリストの誕生日として正式に決定しました。
ミトラ教はキリスト教に迫害され5世紀頃に消滅。太陽神の誕生を祝う祭りはキリストの生誕祭としてお祝いされ、クリスマスになったと考えられています。
ちなみに、最古のクリスマスのお祝いは336年に行われたのだとか。
日本のクリスマスはいつから始まった?
クリスマス文化が日本に伝わったのは、イエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルの来日(1549年・天文19年)がきっかけ。
フランシスコ・ザビエルの跡を継ぎ布教活動を行った「宣教師コスメ・デ・トレース」らが、1552年(天文21年)に現在の山口県において、信者を招いて降誕祭のミサを行ったのが日本最古のクリスマス。
しかし、徳川家康の時代にキリスト教が禁教に指定されたことによって、クリスマスも途絶えてしまいます。しかし、長崎の出島のように外国人が出入りしていた場所は例外とされ、「冬至祭り」や「オランダ正月」という名前に変えて祝われていました。
クリスマスが庶民の間にも浸透したのは明治以降
明治6年に禁教令が解除されると、日本在住の外国人や日本人教徒のあいだで再びお祝いされるようになります。
1900年(明治33年)に明治屋が銀座に進出。クリスマス商戦が始まったり、日本初のクリスマスツリーが飾られたり、庶民の間にも徐々に浸透していきます。本格的に広く浸透したのは昭和になってから。
ちなみに、大正天皇が崩御されたのは1926年12月25日であったため、1948年に祝日法が施行されるまで、12月25日は「大正天皇祭」として祝日に指定されていました。
「クリスマス」と「クリスマスイブ」の違い
日本では12月25日が「クリスマス」で、12月24日は「クリスマスイブ」です。そのため、イブはクリスマスの前日という認識が一般的。でも、このクリスマスイブの認識には若干誤りがあります。
「eve(イブ)」とは「evening(夜・晩)」と同じ意味の古語「even」を短縮したもの。つまり、クリスマスイブとは「クリスマスの晩」という意味となります。
これにはキリスト教の下地であるユダヤ教のユダヤ暦、キリスト教における正式な暦である教会暦が関わっています。現在は一日の始まりと終わりは深夜ですが、ユダヤ暦と教会暦では”日没が一日の変わり目”でした。
本来のクリスマスの日程▼
- クリスマス ⇨ 24日の日没から25日の日没まで
- クリスマスイブ ⇨ 24日の日没から24日の00時00分まで
このように、本来の教義に沿うのであれば、12月25日だけではなく、24日の夜も既にクリスマスです。クリスマスイブはクリスマスの前日ではなく、クリスマスの夜ということ。
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サンタクロースの由来
クリスマスといえば、世界中の子供たちにプレゼントを届けてくれるサンタクロース。みなさんはどうしてサンタさんがプレゼントをくれるのかをご存知でしょうか。また、そもそもサンタクロースとは何者なのかも気になるところです。
サンタクロースの正体って?
サンタクロースのモデルとして有名なのが「聖ニコラス(ニコラオス)」。4世紀頃に東ローマ帝国の小アジア(現在のトルコ)に実在した司教です。
ニコラスは数々の逸話が残されている慈悲深い人物。貧困に苦しむ人や無実の罪の人を救い、罪人を改心させ、後に聖人として崇められるにまで至りました。ヨーロッパではクリスマスとは別に12月6日を「聖ニコラオスの祝日」とするほど、現在でも多くの人々から慕われています。
ちなみに、サンタクロースのトレードマークの赤い服は、聖ニコラスが司教の儀式のときに着ていた衣装がモチーフだと言われています。
サンタクロースはどうしてプレゼントを持ってくるのか?
どうしてサンタさんがプレゼントを子供たちに配るのかについては、ニコラスの逸話の一つが大きく関わっています。
ニコラスの近所には3人の娘がいる家族が住んでいました。その家はたいへん貧しく、ついには娘を身売りしなければいけないことに・・・。
そのことを知ったニコラスは、真夜中にその家の煙突から金貨を投げ入れると、ぐうぜん暖炉のそばに干してあった靴下の中に入りました。
この金貨のおかげで娘は身売りせずに済み、後に結婚できたとされています。
この金貨の逸話が元となり、サンタクロースが靴下にプレゼントを入れていく風習が生まれたのです。
クリスマスツリーの由来
クリスマスに欠かせない飾りといえば、モミの木を使ったクリスマスツリーです。クリスマスツリーは先程ご紹介したゲルマン人の冬至祭りであるユールが由来となっています。
ゲルマン人は寒さに強い「樫の木」を生命力の象徴として崇めていました。ユールの一環として、樫の木を飾り、焚き火を囲みながら飲食を楽しんでいたのだとか。
それがキリスト教に改宗を進める過程で、樫の木から見た目が三角形のモミの木に変更されます。三角形はキリスト教において「父と子と精霊」の”三位一体”を表した形。頂点が父(神)、底辺が子(キリスト)と精霊。三位一体の教えに沿うことからキリスト教の祭りを飾るにふさわしいとして、モミの木がクリスマスツリーに使われるようになりました。
その他にも、クリスマスツリーの起源は諸説存在します▼
- ゲルマン人の樫の木信仰を諦めさせるために切り倒した
- 幸運を運んでくるモミの木に宿る妖精に長く居てもらうためにモミの木を使った
- アダムとイブ
- オーディンと樫の木
クリスマスの歴史と文化にも触れてみよう!
日本のクリスマスは基本的に宗教の意味を持たないため、本来の意味まで知っている方は多くないかもしれません。クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う降誕祭です。サンタクロースが主役ではありません。
クリスマスはキリスト教由来の祭りではなく、元は異教の祭りだったものを、キリスト教に取り込むことで今のスタイルになったというのが有力な説です。また、子供たちにプレゼントを配るサンタクロースには、聖ニコラスというモデルとなった人物が実在していました。
国民的イベントでありながらあまり知られていないこともたくさんあるクリスマス。多くの日本人にとっては楽しいイベント、祭りという位置づけ。しかし、本来のクリスマスは長い歴史と文化が詰まった宗教行事なのです。
このような意味やルーツを知り、より深くクリスマスの文化に触れてみてはいかがでしょうか。
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