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入梅の意味と2023年はいつ?【梅雨入りと入梅の違いも紹介】

入梅と梅雨入りの違い+梅雨の語源

✓入梅ってなに?
✓今年の入梅はいつ?
✓梅雨入りと何が違うの?

このような疑問を解消します。

 

例年沖縄だと5月中旬、本州では6月頃に各地で報じられる「梅雨入り宣言」。それとは別に、ちょうど同じ時期の歳時記カレンダーを確認すると「入梅」と記載されています。

この入梅と梅雨入りは何が違うのでしょうか。それとも同じ意味なのでしょうか。どのように使い分ければ良いのか気になるところです。

 

このページでは、入梅の意味と梅雨入りとの違い、そして今年の入梅はいつなのかをご紹介します。

 

入梅とは?【梅雨入りとの違い】

5、6月頃、ニュースの天気予想でよく聞く「梅雨入り」。そして、歳時記カレンダーに記されている「入梅(にゅうばい)」という用語。

文字が似ている通り、どちらも梅雨と深い関係がある言葉。そのため2つは混同されがちですが、定義は異なります。

梅雨入りと入梅の違い

✓梅雨入りは気象用語

✓入梅は暦の用語

 

入梅とは?

入梅(にゅうばい)とは、「雑節(ざっせつ)」と呼ばれる季節を区分する暦日(暦で定められた1日)の一つ。

雑節とは

「二十四節気(1年を24等分したもの)」や「五節句(季節の節目の行事)」以外の、季節の節目を知るために設けられた暦日。

二十四節気は中国で作られた暦であるため、日本の気候とは少しズレがあり、それを補うために設けられた日本独自の季節の節目を知る目安です。

■雑節は次の9つ

  1. 節分 ⇨ 2月3日ごろ
  2. 彼岸 ⇨ 春分(3月21日ごろ)・秋分(9月23日ごろ)の日を中心に前後7日間
  3. 社日 ⇨ 春分・秋分の日に最も近い戊の日
  4. 八十八夜 ⇨ 5月2日ごろ
  5. 入梅 ⇨ 6月11日ごろ
  6. 半夏生 ⇨ 7月2日ごろ
  7. 土用 ⇨ 四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間
  8. 二百十日 ⇨ 9月1日ごろ
  9. 二百二十日 ⇨ 9月10日ごろ

入梅もこの雑節のひとつで、梅雨入りの時期に置かれています。

 

 

つまり、暦の中に入梅という日があり、それが梅雨の始まる目安にあたる日とされてきたのです。ただし、これはあくまで目安なので、実際の梅雨入り前に入梅が訪れることも珍しくありませんでした。

 

梅雨入りとは?

対して「梅雨入り」は気象用語です。暦の上では「入梅」が梅雨の目安になるのですが、実際は気象庁の出す「梅雨入り宣言」が梅雨入りの合図。

実は梅雨「入り」と「明け」には、「こうなったら梅雨入り」とされる明確な基準はありません。各地域の「これまでの天候+今後1週間の週間予報」が鍵であり、気象庁の予報官が経験と最新技術のデータから判断しています。

雨や曇りの日が2日間程度続き、今後の予報でも晴れが少ないと推定されたとき、「梅雨入り宣言」として発表されるのです。

 

さらに、縦に長い日本は地域による違いもあるため、年によって早まったり遅くなったり時期は毎年変わります。「梅雨明け」も同じで、晴れが続いた日数を目安に判断されています。

 

入梅は何のためにある?

昔は田植えの日取りを決める上で、梅雨の時期を知ることは極めて重要なことでした。というのも、農作業に用いる水の多くは雨水を利用していたからです。

昔は今と違って精度の高い気象予報のない時代だったので、農家の人たちは梅雨の目安として入梅を設けました。

実際の梅雨入りではありませんが、「このあたりの時期から雨季に入りますよ」…という一つの目安として重宝されていたようです。

 

※ちなみに「梅雨明け」を表す言葉は「出梅(しゅつばい)」と言いますが、暦には記載されていません。

 

2023年の入梅はいつ?

入梅の日にちは時代と共に変化しています。

昔は立春から135日目とされていましたが、現代は”太陽の黄径(こうけい)が80度に達した日”とされ、芒種(ぼうしゅ)から数えて5、6日目頃の最初の壬(みずのえ)の日。

芒種とは

芒種(ぼうしゅ)とは、二十四節気(にじゅうしせっき)の1つで、立夏、小満に次ぐ、夏の第3の節気。太陽の黄経は75度。

詳細はこちらをご覧ください▼

二十四節気「芒種」はどんな季節?2023年はいつ?【旬の食べ物・花・風習も紹介】

 

  • 入梅の日にちは、現在の暦だとだいたい6月11日、12日ごろ。
  • 2023年は「6月11日」になります。

 

【豆知識】梅雨の語源は諸説あり

梅に雨と書いて「梅雨(つゆ)」。梅雨というのは中国から伝わった言葉で、中国語だと「メイユー」。その語源は諸説あるとされています。

 

■語源の説①

梅の実が熟する時期に降る雨が由来。

 

■語源の説②

梅の実に滴る「露(つゆ)」こう言葉が転じて「梅雨≒つゆ」になった。

 

■語源の説③

熟した梅の実が潰れる時期であることから、「潰れる」→「潰ゆ(つゆ)」になった。

 

■語源の説④

元々中国では、雨が多くカビが生えやすいことから元「黴雨」という漢字が当てられていましたが、カビの季節ではイメージが悪いため、「梅」の字と取り替えて「梅雨(ばいう)」となった。

 

中国から梅雨という言葉が伝わる以前は、旧暦だと5月にあたるため「五月雨(さみだれ)」と呼ばれていました。

 

入梅と梅雨入りの違いまとめ

「梅雨入り」と「入梅」。どちらも梅雨を意味する言葉ですが、梅雨入りは気象用語で、入梅は暦上で使われる言葉という違いがあります。

今では気象庁が「梅雨入り宣言」を報じてくれるため、ニュースを見れば梅雨入りを確認できます。そのため、入梅はもう現代では意味がないような気もしますが、今でも東日本では入梅と梅雨入りの日はあまり差がなかったりします。

現代でも梅雨の目安として十分活用できるので、事前に歳時記カレンダーなどでチェックしておくと役立つかもしれませんよ。

 

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