2月

針供養の意味と由来【何をする日?豆腐に針を刺す理由は?自宅でも出来る?】

✓針供養ってなに?
✓針供養はいつ?
✓針を豆腐やこんにゃくに刺す理由は?

こんな悩みや疑問を解消します。

 

みなさんは毎年2月に行われる針供養という行事をご存知ですか?一般的にはあまり知られていませんが、特に服飾関係の仕事に携わっている方々にとってはお馴染みの行事。

針供養という名称から何となくイメージはできるものの、豆腐やこんにゃくに針を刺す慣わしなど、分からないことはお多いかもしれません。

 

このページでは、、針供養がどんな行事なのかについて解説いたします。

針供養とは?何をする日?

そもそも針供養とはどんな行事で何をする日なのか。これは針供養という名称からイメージできるそのままの意味です。

【針供養】とは、使ってるうちに曲がったり、折れたり、錆びたりして、使えなくなった縫い針を神社に納めて供養し、同時に裁縫の上達を祈る儀式。

供養の仕方は地域によって違う場合もあります。

 

つまり、針供養とは頑張ってくれた針に「ありがとう」と感謝を伝え、「お疲れ様」の気持ちを込めて供養する行事ということ。

 

基本的に当日は針仕事をお休みするべきだと考えられています。「豆腐」や「こんにゃく」のような柔らかいものに縫い針を刺して供養する方法が一般的。昔は土に埋めて供養していた地域もあるようです。

現代はミシンの普及によって針仕事を家庭でする人が減っているため、針供養を知らない人が増えています。しかし、服飾系の仕事に関わりのある人・企業・学校では、今でも針供養は大切にされています。

 

針供養はいつ?

針供養が執り行なわれる日にちは毎年決まっており、年中行事「事八日(ことようか)」に行われています。

「事八日」とは、1年間お世話になった道具に感謝して供養する風習。

事八日の代表的な行事が針供養です。

事八日は、「2月8日」と「12月8日」のこと。

12月8日が「事始め」で2月8日が「事納め」と呼びます。ただ、事始めと事納めは日ちにが逆になる場合もあるので気を付けてください。東日本だと2月8日、西日本だと12月8日に行われることが多いようです。

両方行う場合もありますが、基本的にはどちらか片方だけ行うことが一般的。

 

日にちが異なるのは考え方の違いによるものです。

神様の事始めは12月8日、事納めは2月8日

年を司る年神様を迎えるために正月の準備を始める12月8日の「事始め」で、正月の後片付けを全て終わらせるのが2月8日の「事納め」。こうして神様を迎える行事を終えて、田畑を耕す人の日常が始まります。

人の事始めは2月8日、事納めは12月8日

年を司る年神様を迎える正月行事を終えて田畑を耕す人の日常が始まる2月8日が「事始め」で、一年の農作業が全て終わる12月8日が「事納め」。そして、神様を迎える準備に入ります。

どちらを始まりと見なすかで、針供養の神事を執り行う日が変わります。

 

針供養の由来

針供養の起源は未だに定まっていないものの、有力とされている説は存在します。元々日本で始まった儀式ではなく、中国から伝わってきた説です。

中国の「社日(産土神「土地の神様」をまつる日)に針線(針仕事)を止む」の習慣が、日本に伝わってきたとされています。

起源は判明していませんが、平安時代には清和天皇によって針供養の堂が「法輪寺」に建立されていました。なので、平安時代には既に針供養の行事そのもの、もしくはベースとなる何かしらの儀式を行う風習があったことは確実とされています。

ただ、当時はまだ一部の地域で貴族が執り行なっていた程度で、いまのように庶民の間に広がったのは江戸中期以降。これを広めたのは、一説では神棚を背負って功徳を説いて各地を回った放浪の坊主「淡島願人」たちだと言われています。

 

淡島願人が各地で唄った祭文の歌詞がこちら▼

淡島明神、鈴をふる願人、天照皇大神第六番目の姫君にてわたり給ふ。御年十六歳の春の頃、住吉の一の后そなはらせ給ふ神の御身にも、うるさい病をうけさせ給ふ。綾の巻物、十二の神楽をとりそへ、うつろ船にのせ、さかひは七度の浜より流され給ふ。あくる日三月三日淡島に着き給ふ。巻物を取り出し、ひな形をきざませ給ふ。雛遊びのはじまり、丑寅の御方は針さしそまつにせぬ供養、御本地は福一まんこくぞう。紀州なぎさの郡加太淡島大明神、神体堅固の願、折針をやる

この淡島願人の唄によって、針供養の儀式が淡島信仰と結びついて全国に広がったようです。

 

針を豆腐やこんにゃくに刺す理由

針供養のやり方は地域によって変わりますが、多くの場合は役割を終えた針を「豆腐」や「こんにゃく」に刺して供養します。

 

豆腐やこんにゃくのような柔らかい物に針を刺す理由は、「ゆっくりお休みしてください」という労う気持ちの表れ。

縫い針は長い間「硬い」生地に何度も何度も針を通してきたので、最後は「やわらかい」ものに刺して休んでもらおうという労いから、やわらかい豆腐やこんにゃくに刺すのです。

 

あらゆる物には神が宿るという考えがあるように、物を大切に扱う日本人らしい素敵な風習ではないでしょうか。

 

針供養は自宅でもできる?やり方は?

針供養は寺社(主に淡嶋神社・淡島神社・浅草寺・法輪寺・天神社など)へ納めて供養するのが一般的。しかし、自宅で行うこともできるのでやり方をご説明します。

決して難しいことはないので、諸事情で神社やお寺に納められない場合は実践してみてください。

 

【準備する物】

  • 供養する針
  • 豆腐やこんにゃく
  • 白紙

 

【針供養のやり方】

  1. 豆腐やこんにゃくをお皿にのせる
  2. 感謝の気持ちを込めて針を①に刺す
  3. 神棚や仏壇があるご家庭はそこに置いて供養する
  4. 供養を終えたら白紙に包んで処分

とても簡単ですが、針の処分する際に怪我をしないように気を付けてください。各自治体によって処分方法は異なることもあるので、しっかり確認するようにしてください。

そして、何より大切なのは「これまで頑張って働いてくれてありがとう」という感謝の心を持って供養することです。

 

まとめ

針供養は、現代では家庭で針仕事をする人が減っているため、一般的には馴染みの薄い行事になっています。しかし、服飾系に関わる業界では今でも深く根付いている風習であり、関連する専門学校でも行われているようです。

針を使う機会は減ってはいても、お裁縫はいまでも身近にあります。幼稚園や小学校に通う子供のためにバッグを手作りする親御さんもおられるでしょう。

物に対する感謝の気持ちを忘れないためにも、「針供養」のような道具を供養する行事を大切にしたいものですね。使わなくなった針が手元にある方は、針供養を行っている神社やお寺に奉納したり、自宅で感謝の気持ちを込めて供養してみてはいかがでしょうか。

-2月
-

© 2024 暮らし道標 Powered by AFFINGER5