
✓蛍狩りの「狩り」ってなに?
✓蛍を見られる有名なスポットは?
このような疑問を解消します。
昔から夏の風物詩として親しまれてきた蛍狩り。最近は生息地の減少によって蛍を見ること自体難しくなっていますが、現在でもホタルの名スポットはまだまだあります。全国各地でホタルの復活を目指した保全活動も行われているようです。
今となってはレアな存在となったホタル。「いつ」「どこで」その姿を見ることができるのか、知りたい方も多いのではないでしょうか。
このページでは、蛍狩りの意味、蛍が見られる最適な時期、名所と呼ばれる日本各地の蛍スポットをご紹介します。
このページの目次
蛍狩りとは
蛍狩りには「狩り」という言葉が使われていますよね。この狩りは蛍を捕まえるという意味ではありません。狩りという言葉には、野生の動物を捕まえるという意味の他に、”季節の風物詩を観賞する”という意味も含まれています。
蛍狩りとは、夏の夜に美しく光るホタルを観賞するレジャーのこと。
意味としては紅葉狩りや、古くは桜狩り(花見のこと)と同じです。ただでさえ蛍は生息地も個体数も減少しているので、意味を間違って解釈して蛍を採集しないように注意してください。
この蛍狩りに関しては、古くは伊勢物語や源氏物語にも登場します。ホタルに関する文学や歌は数多く残っており、蛍の光は今の人だけではなく昔の人の心も癒していたようです。
日本の一般的なホタルの種類
蛍と言えば光る姿を想像する人が多いのではないでしょうか。そのため、蛍は光るのが当たり前だと思われがちですが、意外にも光らない種類の方が多いのです。
蛍は世界でおよそ2700種類見つかっており、日本国内では54種類確認されています。そのうち幼虫が光る種類が約半数で、成虫になっても発光するのは54種類の中でたった14種類しかいません。
さらに言えば、蛍狩りで観賞されるホタルというのは主に3種類のみ▼
- ゲンジボタル(発光間隔は約2秒)
- ヘイケボタル(発光間隔は約1秒)
- ヒメホタル(発光間隔は約1秒)
ちなみにサイズはゲンジボタルが一番大きく、続いてヘイケボタルで、最も小さいのはヒメホタルとなります。
ホタルはどうして光るの?
ところで、そもそもホタルはなぜ光るのかをご存知でしょうか?
蛍が発光するのは求愛行動のひとつと考えられています。オスとメスは光でコミュニケーションをとっており、発光することで交尾する相手を呼び合っているのだとか。
蛍の寿命は成虫になってから約7日~20日程度しかありません。それでも子孫は残す必要があるため、自分の存在と位置を光でアピールして交尾の確立を高めていると言われています。
ただ、ホタルが光を放つ役割には多くの謎が残されているのが現状です。
もちろんラブコールも理由のひとつなのでしょうが、他にもっと別の理由がある可能性も捨てきれません。よくよく考えてみると、発光が求愛のサインなのだとしたら、幼虫の時期も発光しているのは可笑しいですよね。
ホタルを見られる時期・時間・生息場所
蛍狩りは「いつ」「どこに」行けば楽しめるのか。これに関しては種類・地域によって変わりますが、例年の様子からおおよその目安は立てられます。時期・時間・生息場所ごとに見ていきましょう。
蛍狩りに適した時期
蛍が見られるのは例年だいたい5月下旬~7月中旬ごろまで。西から東日本の見頃は5月下旬から6月上旬にかけて、北日本は6月中旬から7月中旬にピークを迎えます。
蛍の種類別の時期
- ゲンジボタル:成虫になるのは5月下旬~6月下旬
- ヘイケボタル:成虫になるのは6月下旬~8月
- ヒメボタル:成虫になるのは5月下旬~7月下旬
全国的に蛍関連のイベントは6月に催されることが多いです。
蛍狩りに適した時間帯
時間帯は日没から1~2時間がピークなので19時半~20時台が目安。
最も見やすい1回目が終わると、2回目の見頃は23時頃、3回目は日付けを跨いで深夜2時頃となります。
ホタルの生息に適した環境・生息場所
蛍の生息場所は、水が綺麗で流れが緩やかな川・水田などの水場の草むら。水温は15~20度くらいで気温は20~25度くらい。風がなく蒸し暑い曇りの夜を好みます。
逆に雨や風が強い日、気温が低い日、月明かりが強い日はあまり活動しません。
ホタルの見頃まとめ
- 時期:5月下旬~7月中旬ごろ
- 時間:19時半~20時台
- 場所:水が綺麗な川や水田近くの草むら
- 気温:20度以上
- 天気:曇り
蛍狩りを楽しめる全国の名所5選
蛍が飛び交う幻想的な世界を楽しめる蛍の名所は、現在も日本各地に存在します。その中でも指折りの名所を一部紹介するので参考にしてください。
■宮城県東和町の鱒淵(6月下旬~7月上旬)
自然発生のゲンジボタル群生地として、国の天然記念物指定を受けている全国でも指折りの名所。人の手が入らない自然生息。そのため、天候の影響を受けやすいのですが、条件が良ければ数百匹のホタルが舞う光景を見ることができます。
■長野県辰野町の松尾峡ほたる童謡公園(6月上旬~下旬)
6月中旬頃に「信州辰野ほたる祭り」が開催されています。こちらは日本随一とも言われているホタルの名所で、多い日はなんと1万匹以上のゲンジボタルが乱舞する幻想的な光景を目にすることができます。
■滋賀県米原市の天の川ほたるまつり(6月上旬~中旬)
「長岡のゲンジボタル及びその発生地」として、日本で唯一国の特別天然記念物に指定されているスポット。毎年シーズン中にはホタルの発生に合わせて、天野川流域で「天の川ほたるまつり」が開かれています。
■兵庫県丹波市の内尾神社(6月中旬~7月上旬)
内尾神社では、ゲンジボタルの見頃が過ぎた6月中旬から7月上旬くらいの時期に、ヒメホタルが飛び交う姿を見ることが出来ます。水生のゲンジやヘイケと違ってヒメは陸生のため、鳥居や参道の石橋をバックにホタル観賞を楽しめるのが特徴。
■佐賀県小城市の祇園川・荒谷ダム周辺(5月下旬~6月上旬)
九州でも随一のホタルの生息数を誇る観光名所で、その数はなんと数十万匹とも言われています。上流から荒谷ダムまでおよそ2kmという広いエリアに渡り、川沿いでゲンジボタルを観賞できるスポット。
また、近年は蛍の住処となる清流を取り戻すための自然再生活動が盛んなので、何年後か先には新たな蛍の名所が生れているかもしれません。
知っておくべき蛍狩りマナー
蛍とその生息環境を守るため、そしてこの先も蛍狩りを楽しめるように、ホタルの観賞・撮影の際にはマナーを守ることを忘れないでください。
蛍狩り(観賞・撮影)のマナー
- 強い光でホタルを照らす行為は控える
(懐中電灯・カメラのフラッシュ・車のヘッドライト・ハザードランプなど) - ホタルを採集したり、殺したり、傷つける行為はNG
- ホタルの生息地内に立ち入らない、踏み荒らさない
- ゴミは捨てずに持ち帰る
- 大きな音を立てたり、大声で騒ぐことはしない
- 違法駐車はしない
- 地元住民に迷惑をかけない
これらのマナーは第一に蛍を守るために必要なことです。特に蛍の発光は子孫を残すための求愛行動とも言われているので、蛍を照らすなどの繁殖行動を邪魔する行為は絶対に控えてください。
迷惑行為や危険行為が続くと規制などの措置がとられることもあります。
マナーを守ってホタル観賞を楽しみましょう。
初夏の夜は観賞マナーを守って蛍狩りを楽しもう!
初夏の夜に、ふわりと舞うホタルの幻想的な光景を楽しむのが蛍狩り。狩りと言ってもホタルの採集が目的ではないので、間違っても生息地を荒らしたり捕まえるような行為は控えてください。
日本中どこでも見られた昔と違って、現在は蛍の数も生息地も減少傾向にあります。ただ、最近は蛍のための保護活動や自然再生活動が盛んに行われており、の成果もあって蛍が住める環境も増えているようです。
全国には蛍の名所もまだまだたくさんあるので、各地を巡ってみるのも良いかも。また、自然が手厚く保護されている地域にお住まいなら、もしかしたらご自宅の近くで出会えるかもしれませんよ。
今年の夏はぜひ観賞マナーを守って蛍狩りを楽しんでください。蛍たちが生み出す幻想的な世界を観に行きましょう。