
✓土用干しの時期はいつ?
✓何を干すの?
このような疑問を解消します。
土用と言えばウナギを食べる土用の丑の日が有名です。しかし、丑の日以外にも「土用干し」という風習があることをご存知でしょうか?
土用干しという言葉から何かを干す慣わしであることは想像できても、具体的な説明ができる人は少ないですよね。同じ土用でも土用の丑の日に比べると、やはり一般的にはあまり認知されていません。
このページでは、土用に行う風習である土用干しの意味、時期はいつなのか、干す物についてご紹介します。
土用干しとは
土用干し(どようぼし)とは、夏の土用の期間に様々なものを干す風習です。
代表的な干すものは「梅」「衣類」「書籍」「田んぼ」など。
昔ながらの風習ではあっても意外と身近なことでもあります。普段の暮らしでも洗濯物や布団を干しますよね。土用干しも天日干しや陰干しで物を干すことを指しています。
夏の土用の期間はちょうど梅雨明けの時期と重なるので、何かを干すにはちょうど良い時期だったのです。そのため、夏の土用に干すものを総称して土用干しと言われています。
そもそも「土用」とは何か
「土用」とは、季節の節目を知るために設けられた日本独自の暦「雑節(ざっせつ)」の一つ。
雑節の詳細はこちらの記事をご覧ください▼
本来の土用は春夏秋冬それぞれのシーズンに「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」の計4回の土用があります。
この由来となるのは中国の「陰陽五行説(五行思想)」。これは、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという自然哲学の思想です。
元素をそれぞれ「春=木、夏=火、秋=金、冬=水」というように四季にあてはめ、残った土は「土=季節の変わり目」に割り当てられており、この土の期間を土用と呼びます。
土用干しは、1年を通して4回巡ってくる土用のうち、「夏の土用」の期間に行う風習です。これは、一般的にもウナギを食べることで知られる7月、8月の土用の丑の日がある期間。
土用の丑の日の詳細はこちらをご覧ください▼
夏の土用はいつ?
土用の期間は、四立(立春・立夏・立秋・立冬)の直前18日間(または17日・19日間)。
土用の期間
- 【冬土用】立春の直前約18日間 ⇨ 1月17日~2月3日頃
- 【春土用】立夏の直前約18日間 ⇨ 4月17日~5月4日頃
- 【夏土用】立秋の直前約18日間 ⇨ 7月19日~8月6日頃
- 【春土用】立冬の直前約18日間 ⇨ 10月20日~11月6日頃
※四立は年によって1日前後するため土用の期間も年によって異なる
土用干しの期間は夏の土用です。夏の土用は立秋(8月7日ごろ)の直前約18日間なので、7月19日~8月6日ごろということになります。
土用干しの意味と効果
土用干しで干す代表的なものは「梅」「衣類」「本」「田んぼ」です。これらを干す意味と効果についても以降で解説します。
土用に梅を干す
梅は6月に収穫を行い、塩漬けにした梅を3~4日ほど天日干しすることで梅干しが出来上がります。この土用の期間に行う梅の天日干しの工程が「土用干し」となります。
梅雨が明けて天候が安定しやすい時期に入るため、梅を干すには絶好のタイミングなのです。
天日干しすることによって、紫外線の作用で梅は殺菌され、水分が抜けて保存性が高まります。
土用に田んぼを干す
田植えをした田んぼは、土用の時期に1~2週間ほど水をせき止め、土にヒビが入るまで乾かします。これを「中干し」と呼ぶのですが、土用の期間に行われるため代表的な土用干しの一つに数えられています。
田んぼを土用干しすることによって、根の活力が高まり、風害を耐える丈夫な稲穂が残り、豊かな実りになるとのこと。
中干しの目的
- 土中に酸素を取り込んで根腐れを防ぐ
- 土中の有毒ガスを抜く
- 無駄な分けつ(親株から新芽が出て株分かれすること)を抑える
- 田面をかたくして作業性を高める
土用に着物や本を干す
土用の時期に「着物(衣類)」や「本(書籍)」を干すと「虫に食われない」と言われていました。
梅や田んぼと違い天日干しだと傷んでしまうので、風通しの良い場所で陰干しを行い湿気を逃がします。これを「虫干し」と言い、書籍の場合は「曝書(ばくしょ)」とも呼ばれます。
夏の土用の時期はちょうど梅雨明けごろ。まだまだ湿度の高い時期なので、虫干しを行うのであれば湿度の低い日・時間帯を選ぶようにしましょう。
今年の夏は土用干しに挑戦してみよう
土用干しとは、7月中旬~8月初旬の土用の期間に、梅・衣類・書籍・田んぼなどを干す行為のことを指す風習です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、梅干しは基本的に土用干しされたものが出回るので、意外と現代でも身近な風習と言えます。
夏の土用の期間は梅雨明けごろにあたり、天候が安定しやすい時期。天日干しもしくは陰干しすることで湿気をとり、虫やカビを防ぐことに繋がります。梅は保存性やうま味が向上し、田んぼでは丈夫な稲が残るため実りが豊かになるとか。
衣類や書籍の日干しならご誰で簡単にできます。梅干しも自宅で手作りできるので、今年の夏は土用干しに挑戦してみてはいかがでしょうか。